スノーボードのハーフパイプで冬季五輪2大会連続銀メダリストの平野歩夢(22=TOKIOインカラミ)が、大会組織委員会の橋本聖子会長を含む日本人5人目の夏冬両五輪出場を成し遂げた。

予選4組に登場し、スピード感のあるライディングで高い空中技を披露したが、予選3回の試技で最高得点は62・03点で全体14位だった。上位8人による決勝進出を逃した。

2回目の試技で持ち前の高いエアを見せた。空中でボードを1回転させる「フリップインディ」、終盤には1回転半する大技「540」も成功。45秒の演技をノーミスで終えたが、点数は伸びなかった。最後は障害物でのターンに失敗。予選突破はできず「二刀流の」挑戦は幕を閉じた。平野は「楽しく自分の滑りができた。悔いはないです」と振り返った。

「二刀流」を表明したのは18年11月。平昌冬季五輪を終え、4歳の頃から慣れ親しんできたスケートボードで今度は東京五輪出場を目指すことを宣言した。「五輪の正式種目になったのでスルーするわけにはいかない」と力強く語った。

19年5月には地元の新潟・村上市で行われた日本選手権で初の日本一を獲得。東京五輪に直結する強化指定選手入りを引き寄せた。

その後の五輪予選を兼ねた国際大会で日本勢トップを維持し、念願の五輪出場権を獲得した。

ただ、パーク男子はいまだ世界との差があった。日本勢で唯一五輪出場権を手にした平野も、国際大会ではなかなか上位に食い込むことはできなかった。

スノーボードと同じく幼少期から慣れ親しんできた横乗り競技だが、五輪前に平野は「納得いく滑りがなかなかできていない」と述べた。直前の仕上がり具合について「勝つか勝たないかで言ったら、かなり不安がある。不安しかない」と本音も吐露した。

そんな中で初めて臨む夏季五輪は、勝ち負け以上に大切なことがあった。「自分がどこまでできるのか試す気持ちが大きくて。他の人がチャレンジしてないことや誰もやったことのないことをしたかった」。競技を終えて「スケートボードが今の自分を強くしてくれた」と二刀流挑戦を支えた周囲への感謝も口にした。

スケートボードの挑戦はひとまず終え、来年2月には北京五輪に向けて準備する。「スノーボードに離れている期間が多いので、半年でどれだけできるか。終わっても、挑戦は終わってない」。22歳はわが道を突き進む。【平山連】