東京オリンピック(五輪)・パラリンピック組織委員会は19日、南アフリカのサッカー男子代表チームで判明した3人の陽性者に関し、21人の濃厚接触者が確認されたと発表した。

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試合まであと3日となって混乱が生じた。東京五輪・パラリンピック組織委員会は18日に3人の陽性者が出た南アフリカのサッカー男子代表チームで、21人の濃厚接触者が認定されたと発表。FIFAなど関係機関が日本戦実施の可否について調整に入った。組織委のある幹部は、21人が19日のPCR検査で全員陰性だったこともあり、FIFAとの協議は試合の開催に向けたものだと明かした。

取材に応じた組織委の高谷正哲スポークスパーソンによると21人が選手村内で、食堂やトレーニングルームなど、どこを利用していたかは「把握できていない」という。選手村を利用する他の選手団にも、不安が生じる事態といえる。試合が実施されれば濃厚接触者も出場することが予想され、感染リスクを心配する声が出そうだ。一方、開催できなければ、23日の開幕を前にコロナ禍での大会運営の難しさを国内外に印象付けることになる。

大半が濃厚接触者となった南アフリカは、千葉県内で約1時間半の練習を行った。冒頭約15分間が公開され、パス交換や軽いダッシュなどで汗を流した。チームは2台のバスを使い練習場と選手村を往復。陽性者判明を受けて自室待機、食事もスタッフが部屋に運んだものを1人でとっている。18日は練習を取りやめたが、この日練習場に姿を見せた選手は15人。登録は19人で、陽性者以外に2人の選手が不在だったが、同国協会によると所属クラブの事情で17日にモロッコから日本に向けて出発した、合流前の選手だという。

組織委は、練習や試合については毎日のPCR検査で陰性となり、かつ6時間前の検査でも陰性なら参加が可能との認識を示した。今大会は、各チームの選手登録枠が18人から22人に拡大。その中から試合ごとに18人を選ぶ。FIFAは試合実施のためには少なくとも13人が必要としている。

一方の日本は「リスクを最小限とするための措置」として、急きょ取材を対面からオンラインに切り替えた。オーバーエージ(OA)枠の主力、MF遠藤は画面越しに「大会前から予想できたこと。無事に開催されることを祈っている。せっかくの五輪なので、ぜひ南アフリカと試合がしたい。陰性が確認できて試合が開催されることを個人的には願っている」と冷静に話した。

◆前回五輪でも「6時間半前」まで… 2016年のリオデジャネイロ五輪サッカー男子で手倉森誠監督率いる日本は、1次リーグB組初戦でナイジェリアに4-5で敗れ、日本選手団の初陣を飾れなかった。ナイジェリアはチャーター機の手配トラブルなどで合宿先の米アトランタから試合開始約6時間半前に着いたばかり。見かねたデルタ航空が、NBAチームが使用するチャーター機の無償提供を申し出て現地入りが実現するという綱渡りだった。相手は6時間20分のフライトを終え、現地練習なしで試合を迎えていた。

○…今回は南ア側が陽性者を発表したが、組織委は陽性者の国や競技名、選手名の公表はしないことになっている。高谷スポークスパーソンは記者団から「通常であれば陽性者が出た場合、対戦相手側にも、その情報は開示されないのか」と聞かれ、「現時点では相手チームにも言わないことになっている」と答えた。