サッカー男子日本代表の森保一監督(52)が、名将たちが残した“3本の矢”で、国際舞台を勝ち抜く力を示す。メキシコ戦の勝利から一夜明けた26日にオンラインで取材対応し「世界でどう勝つかというところで、過去3回W杯でベスト16に出ていることを生かさないといけない」と語った。

兼任するA代表の過去のW杯での戦いから、02年トルシエジャパンからは組織力の重要さを、10年岡田ジャパンからはサイドの攻防で相手に負けないことの大切さを学んだ。五輪日本代表の選手たちも、A代表組や候補生たち。「(W杯という)高い目標のなかで、五輪という世界大会でも力を発揮できれば個々のレベルもあがる」と、A代表さながらの基準を要求する。

コーチとして参加した18年西野ジャパンでは、恐れずにボールを持って技術を発揮することで強豪からも点を奪えることを確信。一方でベルギーに大逆転を許すロストフの悲劇も目の当たりにした。その分析から「リードしていると70分以降はデュエル勝率も落ちてくる」と、相手の圧力が強まったときにコントロールする余裕がなくなることも分かった。

そこから、選手にはリードしていてもボールを保持すること、相手が出てきたときにはカウンターを仕掛けることも繰り返し伝えてきた。メキシコ戦では2-0の状況から、カウンターで最後は堂安が退場を誘う反則を獲得。「もう1点を狙って試合を終わらせるチャンスをうかがうことは、選手たちがトライしてくれた」と、たしかな進化を感じている。

組織力、サイドの戦力、守りに入らない技術力。どれか1つではW杯で8強の壁を破れなかったが、3つそろえば乗り越えられる手応えがある。現在、選手たちには個の成長を口酸っぱく伝えている。「和をもって力をだすことは忘れてはいけないが、個の強さがなければ組織は強くならない」。22年W杯カタール大会の主力候補たちがまずは五輪で、カタールでの躍進の可能性を証明する。【岡崎悠利】