やっと本来の泳ぎに近づいた瀬戸だが、やはり最初のバタフライが伸びきらなかった。新型コロナの影響で調整がうまくいかなかったことが、タイムが出なかった理由ではないか。

日本選手の多くは大会前に高地練習をするが、今回は海外に行けずに国内だった。いつもの標高2000メートル超の海外施設と違い、長野・東御市のプールは1750メートル。標高差のある慣れない施設での調整は、データもなくて難しかった。

瀬戸は大会3日前に平地に降りた。高地合宿は選手によって、その効果の出方や出る時期が違う。これまでの経験からベストの判断をしたのだろうが、ここに来て調子が上がってきたのを考えると少し遅かったのかもしれない。さらに、プールが使えずに追い込んだ練習ができなかったことも関係がありそうだ。陸上の競技と違って競泳は水から離れると水中感覚を戻すのが大変。これは瀬戸だけでなく、海外の選手も同じだ。(84、88年五輪代表)