レスリング女子50キロ級で須崎優衣(22=早大)が、決勝で孫亜楠(中国)を下し、金メダルをつかんだ。

「2020」。須崎の育った千葉県松戸市の実家には、その数字が書かれた記念フラッグが飾られていた。08年1月、父康弘さんと2人で出場した「松戸市七草マラソン」。ファミリー2キロの部で与えられたのが「2020」のゼッケンだった。

当時は東京開催が決まる5年前。「他にも水泳やピアノもやっていたんですが、レスリングがピンときた。体を動かすことが好きで、マット運動が楽しかった」と小1で競技を始めて数年後だった。母和代さんは「このゼッケンはずっと飾ってあったんです。何かの運命なんですかね」と懐かしむ。

JOCエリートアカデミーに入り、東京開催決定直後から、金メダル候補として期待された「東京五輪の申し子」。1度は道が閉ざされたかに思われたが、五輪は見放さなかった。「TOKYO 2020」の会場で戦う姿。確かに、それは「運命」だったのかもしれない。