少し前にアルゼンチンのサッカー関係者と話をしていた時です。同国のZ世代と呼ばれる、いわゆるティーンエージャーの話を聞いたのですが、Z世代はフットボールを90分見ないというのです。それどころかスタジアム離れが進んでいて、全く歯止めがかからないということでした。フットボール離れということに繋がる話かと思いきや、完全に離れているわけではないとも言います。これはアルゼンチンだけでなく、ブラジル、コロンビア、ウルグアイなどの強豪国だけでなくエクアドル、メキシコ、コスタリカ、ペルー、チリなども含めた中南米全体的に言えそうです(友人にスペイン語圏が多く、それぞれ個別に聞いてもみな同じことを口にしました)。今南米を中心としたフットボール市場に何が起こっているのか、見てみたいと思います。
日本でも同様かもしれませんが、ネット環境が整ってきたことで、デジタルの世界への接触時間が明らかに増加しています。そして当然お金の使い方もそこに流れるわけで、自身の学生時代を振り返ってみても、今支払っている携帯代やインターネット(アプリも含む)使用料なるものはそもそも存在していませんでした。さらに課金制のサブスクリプション契約というものが存在していませんでした。若者だけでなく多くの人々のスポーツに対する接触の仕方が変化していることは明確です。南米では、90分の試合を見るよりもアプリでのハイライトで結果情報が手に入ればそれでよく、チケット代を払ってスタジアムに行くことは、プライオリティが低く感じられているという分析もされています。ここには2つの要素があり、一つはそもそものお金の使い方。今までチケット代に流れていたものが携帯電話やインターネット使用料に流れている事になります。そしてもう1つが、所謂“鍵となる情報”さえ手に入ればそれで満足できるという点。結果はもちろん、そのゴール前後だけ短時間で見ることができれば、それだけで満足という考えがあるような気がします。
日本の経済的な視点から見てみると、お金の使い方の変化というところに目が行きます。同時に考えなければならないのが、人口や比率の変遷です。調べてみましたが、日本とは大きく違っていました。南米諸国の人口ピラミッドを見ると、日本のように極端に団塊の世代が多く、少子化が進んでいるわけではない状態ではありませんでした。きれいなピラミッド状に近く、さすがに「少し少子化の予兆があるかな」くらい。日本やドイツなど世界的にも少子高齢化のスピードが早く、特に日本はそのスピードが早いとされていますが、その様な形で情報を調べても、南米の国々は名前が挙がって来ません。
人口は当然、その数量が大きければ大きいほど経済は自然と大きくなると考えられる傾向で大切な部分ですが、人口分布との関係が低いとなれば、鍵となってきているインターネットをはじめとするデジタルの世界。このツールを駆使してファンを惹きつけることができるのか、それとも放してしまうのか。この難題がフットボールの未来を担うと言っても過言ではなさそうです。
日本も含めて、新しい発信の仕方でフットボール・マーケティングを進めることが必要になる時代なのかもしれません。【酒井浩之】(ニッカンスポーツ・コム/サッカーコラム「フットボール金融論」)




