14-0は、サッカーのスコアじゃないね。MF南野がW杯カタール大会アジア2次予選全5試合で連続得点し、FW大迫はモンゴル戦でハットトリックを記録した。ほとんどの選手が幸せな気分で所属クラブに戻ったんだろう。2次予選突破にリーチをかけたと喜んでるかもしれないけど、逆に悲しくなっちゃうよ。

W杯アジア最終予選が10月(5~13日)から始まる。代表の試合は、IMD(国際マッチデー)という決められた期間にしかできない。最終予選まで実戦は6月の2次予選3試合だけ。強化試合のように相手を選ぶこともできず、格下相手に消化試合を淡々とこなしていくだけだ。

日本や韓国、オーストラリアなどのシード国に、2次予選は何の意味もない。弱小国はシード国との試合を喜ぶだろう。普段は対戦できない相手との一戦が保証されるからね。各協会が、理事選、会長選などの時にそれぞれ票を持っているから、AFC(アジアサッカー連盟)はそれが軽視できない。シード国も、弱小国も同じ数の票を持ってるからだ。

AFCは、予選方式を見直すべきだね。シード国は最終予選からの出場にして、最終予選に食い込む国を2次リーグまでに決めればいい。日程的にも余裕がない中、代表チームの強化が図れないスケジュールが続く限り、アジアがW杯本大会で世界の壁を崩すことは難しいだろうね。

すでにサッカー人気のピークは過ぎている。僕は72年から20年以上、日本協会主催のサッカースクールに指導員として参加した。日本中を年間50カ所も回ったが、多いところで1000人の子供が集まった。でも今は、せいぜい30人程度らしいね。汗を流してボールを追うより、自宅でサッカーゲームをした方が楽しいと感じる子供が増えたのかもしれない。

従来のW杯の予選方式が続く限り、まともな強化試合が組めない。実力、人気は上がらなければ、サッカー人口の減少は続くだろう。現在は19歳の久保に頼るしかないほど、スーパースター不在。日韓戦に勝ち、モンゴル戦で大勝しても、スッキリせず、不安が募るのは私だけだろうか。(日刊スポーツ評論家)

日本対モンゴル 後半、古橋はゴールを決める(2021年3月30日撮影)
日本対モンゴル 後半、古橋はゴールを決める(2021年3月30日撮影)