雄大な明石海峡大橋を背景に、2つの国旗がたくましく揺れていた。

ビーチサッカー日本代表は、ロシアの侵攻を受けるウクライナの支援を目的とし、同国代表との国際親善試合を開催。2日間のうち、第1日の10月1日は4-2で勝利した。

日本サッカー協会(JFA)の田嶋幸三会長(64)は今回の親善試合を「特別な意味のある試合」と語り「我々はスポーツを通してどうサポートできるか。スポーツでできることがあると思う」と力を込めた。

ビーチサッカーありきではなく、カテゴリーを問わず男女、下の年代も含めて方法を模索した。結果的にビーチサッカーで実現。ウクライナ代表の渡航、滞在の費用は日本協会が負担した。試合の入場料は無料で、募金活動も行われた。

普段、母国で活動するウクライナの代表選手だが、今年は情勢によりスタートが遅れたという。同国を率いるミコラ・コステンコ監督(46)は「ウクライナは兵士が前線で戦っているが、我々も、スポーツ現場の前線で戦っている。それは自らの国のため、自らの国旗のために戦っている。スポーツ選手も前線で戦っているという気持ちを持って戦っています」。引き締まった顔に覚悟が現れていた。

会場に詰めかけた733人の観客の中には、ウクライナからの避難民と見られるサポーターの姿もあった。試合前の国歌斉唱では国旗を振る姿もあった。ミコラ監督は「日本という遠く離れている国で同胞と会えて、力をいただいたことは非常に感謝しています。特に戦争中で、思いを共有できる相手がそばにいてくれたことは非常に力になりました」。

戦争により出国を余儀なくされた人もいるだろう。代表チームが「力になった」と言うように、異国の地で生活を強いられる人々にとっても同胞のプレーに力をもらったのではないか。

田嶋会長は「先週ドイツで日本代表が試合をした。その時も自分の国以外で代表チームが試合をすることが、どれだけ勇気づけることになるか(を感じた)。ましてウクライナの置かれている状況だとすると、皆さんが旗を振って国歌を歌っている姿は、僕らが感じる以上のものだろうなと見ていました」と語った。

試合後には両チームで「スポーツと共にある平和な日常を!」と書かれたバナーを掲げ、コートを一周。観客は拍手で選手たちをたたえ、敵も味方も関係ない、会場がひとつになった時間だった。

この日、4点目のゴールを決めた山内悠誠(37)は「W杯や対戦国として戦っているけど、ビーチサッカーの仲間。協会を通して支援できたり、切磋琢磨(せっさたくま)できるのはうれしい。どんな事情があれ僕は戦争はよくないと思うし、なくなって欲しいと思う。いち早く収束することを願っています」と力強く話した。

「ビーチサッカーの仲間」。

その言葉に国境はなかった。砂浜のスポーツが国をつなぐ、かけ橋に見えた。【波部俊之介】