おとこ気サッカーVSセクシーフットボールだ!

 今日30日、第91回全国高校サッカー選手権大会が開幕する。優勝候補に挙がる青森山田は明日31日に野洲(滋賀)と対戦。昨年のU-17W杯8強メンバーでもあるDF室屋成(3年)は、テクニック自慢の相手に泥くさく立ち向かうと宣言。J1清水のオファーを断り、日本代表DF長友(インテル)の背中を追って明大に進む世代屈指のサイドバック(SB)が、昨年度に続く2度目の選手権で頂点を目指す。

 “セクシー封じ”の青写真は見えている。室屋は「セクシーVSおとこ気です。泥くさく、おとこ気で戦いますよ」と笑った。今年の青森山田は前線からの激しいプレスに加え、182センチの大型MF縣翔平(3年)ら高さで局面を打開できる選手もそろう。相手の持ち味を殺し、時には力で強引に押し切るスタイルでテクニシャンぞろいの強豪にぶつかる。「強い相手だけど、自分たちのやってきたサッカーをやれば、絶対に勝てる。自信はあります」と力強く言ってのけた。

 室屋は昨年メキシコで行われたU-17W杯に東北から唯一出場した。SBとして5試合のうち4試合でフル出場し、MF中田英寿らを擁した93年の日本大会以来となる8強進出に貢献。代表入り前は「(動きを)サボることも多かった」と苦笑する中盤のサイドプレーヤーだったが、高校でもSBに固定されて完全に覚醒した。最大の武器は豊富な運動量。持久力を測るテストの1つ、20メートルシャトルランで「全国2位」の182本という驚異的な数値をたたき出したこともある。

 卒業後は明大への進学が内定。清水からの誘いに揺れたが「長友選手を輩出したSBの育成がうまい大学。いろんな経験を積んで、いずれは海外でプレーしたい」と決断した。大きな夢をかなえるためにも、まずは目の前の一戦。野洲の中核を担うMF望月嶺臣(れお=3年)はU-17日本代表の同僚だけに、負けられない気持ちも強い。「最後の大会。優勝して、いい思い出を作って終わりたい」と頂点を見据える。室屋成。この名前を覚えておいて、損はない。【亀山泰宏】

 ◆室屋成(むろや・せい)1994年(平6)4月5日、大阪・熊取町生まれ。幼稚園からサッカーを始め、熊取北小、熊取北中ではゼッセル熊取FCに所属。中学時代の監督が青森山田・黒田剛監督と同じ大体大出身だった縁もあって青森へ。高校進学後にボランチからサイドハーフに転向。昨年のU-17W杯でサイドバックで起用されて以降は、同校でも定位置になった。家族は両親、兄。172センチ、59キロ。血液型A。