学生スポーツの祭典、ユニバーシアードからサッカー競技が19年ナポリ大会を最後に消滅することが29日、分かった。

 主催する国際大学スポーツ連盟(FISU)が、国・地域別の代表チームではなく単一チームで学生の世界一を争う「大学W杯(仮称)」を新設する。大会関係者が明かしたもので、大学サッカー界の世界最高峰の大会が、大きくかじをきることになる。

 20年から始まる新大会には当面、中国が出資し、各チームの遠征費や宿泊費まで補助する。背景には習近平主席の肝いりで力を注ぐサッカー強化がある。バルセロナを今季で退団するスペイン代表MFイニエスタも重慶移籍が報じられるなど、自国リーグでスター選手を「爆買い」し、国家予算による設備建設も進めているが、ユニバーシアードの出場歴はなく、この世代の強化機会を確保するために動いたとされる。今回の案は昨年FISUの会議で協議され、各地域のリーグ戦や全日本大学選手権などの日程が固まっていた日本は反対したが、日本を除く25カ国の賛成で決まった。

 ユニバーシアードにはこれまで、日本代表のガラタサライDF長友佑都(明大)やG大阪GK東口順昭(新潟経営大)らが出場している。他にもJ2熊本FW巻誠一郎(駒大)、関東1部東京ユナイテッドFCのDF岩政大樹(東学大)ら過去のワールドカップ(W杯)メンバーも通った。学生の大会ながらプロとアマチュアが混在し、欧州では下部リーグにいるクラブの若手が国際経験を積むため出場している国もある。新大会でもこの形は踏襲される見通しだ。

 19年には最後のナポリ大会と同時に新大会に向けたプレ大会も開催する予定。ただ各国予選など大会形式が未定といい、すでに国内の大会スケジュールが進んでいる日本はプレ大会に出場しない考えもある。大会形式によっては、大学サッカーのカレンダーも大きく変わりそうだ。

 ◆ユニバーシアード 国際大学スポーツ連盟(FISU)が主催する総合競技大会。59年にイタリア・トリノで夏季大会が初開催。冬季大会と1年ごとの交互開催だったが、75年から2年おきの同年開催となった。年齢制限は開催年の元日時点で17歳以上28歳未満。大学または大学院に在学しているか、前年に卒業していれば出場できる。サッカー日本代表は17年大会を制するなど過去6度優勝している。