野球のオコエ、陸上のサニブラウンに続くヒーローの座を狙う。第94回全国高校サッカー選手権(12月30日開幕)の組み合わせ抽選会が16日、都内で行われた。3年連続出場の矢板中央(栃木)は大みそかの1回戦で大分と対戦。コンゴ人の父を持つ星キョーワァン主将(3年)が高い身体能力で栃木大会無失点の守備陣を引っ張る。

 星が大会の台風の目になるかもしれない。コンゴ人の父と日本人の母を持ち、東京生まれ、栃木育ち。身長184センチ、体重78キロ。膝下56センチ、股下86センチのスラリとしたセンターバックは「顔はサニブラウンに似てるって言われるけど、最近はオコエっていじられます」と笑った。

 サッカーを始めて5年強。「小学生の時は1カ月だけ陸上。あとはカードゲームの遊戯王をやっていました」。中学に入ってバスケットをやろうと思っていたが、友人に誘われてサッカーを始めたという。50メートル走6秒2など高い身体能力と、特技のけん玉と1輪車で培った集中力を発揮し、栃木大会では4試合で無失点の原動力となった。「ブラジル代表のDFチアゴシウバが憧れ」と激しいプレスを動画で研究し、守備に磨きをかけてきた。

 昨年は1回戦の松山北戦で勝ち越しゴールを挙げたが、2回戦ではPK戦の末に流通経大柏に屈した。目標の初優勝に向けて1回戦は大分との対戦。「初めての相手で分からないけど、自分たちにも勝機はある」と自信をみなぎらせた。

 名前のキョーワァンは父の母国の言葉で「賢い」の意。得意科目は日本史で「戦国時代が好き」という。世代別の日本代表は未経験だが「将来はプロになって東京五輪に出たい」と意欲をのぞかせる。高橋健二監督も「隠れた逸材だと思いますよ」と太鼓判を押す。

 星と同じくコンゴ人の父を持ち、栃木大会7得点のFW森本ヒマン(3年)とともに活躍に期待がかかる。野球のオコエ瑠偉(東京・関東第一)、陸上のサニブラウン・ハキーム(東京・城西高)に続き「自分も結果を残してハーフブームに乗りたい」と活躍を誓った。【青木沙耶香】