聖和学園(宮城)が05年度大会優勝の野洲(滋賀)を圧倒し、「セクシー決戦」を制した。左足中足骨の疲労骨折から復帰したエースFW谷田光(みつる、3年)が2得点で完全復活を遂げた。2回戦では大社(島根)に3-2で逆転勝ちした青森山田と激突する。

 頼もしいエースが帰ってきた。聖和学園の谷田が自慢のドリブルで、縦横無尽にピッチを切り裂いた。「久しぶりのスタメンで心配だったけど、2点とれた。ハットトリックしたかった」。前半13分、左サイドでボールを持った谷田が持ち上がってペナルティーエリアに突進し、左足を振り抜き先制。続く2-0の同18分にはFW高橋のスルーパスに抜け出し、右足で流し込んだ。個人技で魅了する「セクシーフットボール」を掲げる野洲を、鮮やかな先制攻撃で沈めた。

 華麗な足技に、スタンドから自然と歓声が上がった。相手に囲まれても、谷田は巧みにかわして前に突き進んだ。「狭い中でも崩す練習はしてきた」。10対10で2個のボールつなぎや、1対1の対人練習には時間を割いてきた。「狭いスペースの中でも得点してる」とバルセロナのFWメッシの動画を見て研究。中学からドリブル好きで、11年に初出場した聖和学園のスタイルに憧れ、千葉から越境入学してきた。

 野洲とのセクシー決戦が痛みを忘れさせた。谷田は、8月上旬の練習試合で左足中足骨を疲労骨折した。11月7日の宮城大会決勝で途中出場し復帰したが、開幕前の練習試合でも先発はなかった。この日の朝、加見成司監督(43)から「どの時間帯から試合に出るかは自分で決めろ」と言われ、テーピングをしてぶっつけ本番で先発復帰した。「痛かったけど、試合中は気にならなかった」。71分間の出場で、本来の輝きを取り戻した。

 次戦は青森山田との東北決戦。昨年は尚志に0-3で敗れ、過去3度の出場で2回戦を突破できていない。「ケガをしていた4カ月間、監督やチームメートに助けられた。次も自分たちのサッカーをして勝ちたい」。支えてくれた仲間のためにも、次も必ず決めてみせる。【高橋洋平】