桐光学園(神奈川)は、FW小川航基(3年)の2ゴールなどで、3回戦に駒を進めた。

 今大会NO・1ストライカーの重圧から解き放たれたのは、後半に折り返してからだった。U-18日本代表の桐光FW小川は狙っていた。「ハーフタイムに『ニアを突いていけ』と言われて、そのイメージを持っていた」。後半9分。MF鳥海のニアサイドへの右クロスに、身長184センチの体から長い右足を伸ばして、流し込んだ。序盤から繰り返したサイド攻撃。前半のファー勝負から打って変わってニアを制した。

 シード校として迎えた初戦。1年生だった前々大会以来の全国選手権は、エースであり主将として戻ってきた。「あのときの記憶がよみがえってきて、ちょっと硬くなったけどすぐに慣れていきました」。2点リードの後半31分には、FWイサカが獲得したPKを譲り受け、冷静に左へ流し込んで2点目。「満足していない。5、6点決められた。精度が足りない」とまだまだゴールに飢えている。

 高校年代の日の丸を背負い、J1に昇格する磐田入りが内定。輝かしいようで実は雑草を歩んできた。中学に入る際、横浜ジュニアユースの試験を受けたが1次審査で落選。同校OB・元日本代表MF中村と同じように挫折を経て桐光入り。「大迫選手を見て、選手権の舞台に立ちたいと思った」。恵まれた体格を生かした得点力を身につけた今、目標は明確。その大迫が持つ最多得点記録(10点)を塗り替えるつもりだ。

 鈴木監督から「まだ40%。スイッチが入ったら、高校生にはまず止められない」と期待を受ける小川は「まだ桐光は優勝していないので、そのために決勝へ行きたい」。初優勝と最多得点王。2発の号砲でのろしを上げた。【栗田成芳】