鹿島アントラーズがエースFW金崎夢生(28)の今季初の2得点でヴィッセル神戸に逆転勝ちした。0-1の後半24分に右足で同点弾、同41分にはGKとの1対1をフェイントでかわして勝ち越し弾。チームを首位奪取に導くとともに、W杯アジア最終予選オーストラリア戦(31日、埼玉)での日本代表復帰にも大きくアピールした。大岩剛監督(45)は就任後9戦無敗で、J1記録にあと1と迫った。

 金崎が後半に2度、拳を突き上げてほえた。同点弾は左クロスをゴール前に落としたMF中村のパスに走り込み、左45度から右足でDF2人の間を狙ってカーブをかけた。勝ち越し弾はMFレアンドロのスルーパスを受け、一瞬の速さでGKをかわして右サイドから流し込んだ。「この試合1つでなく、サッカー選手として、しっかりプレーで示す必要があった」。約1年5カ月遠ざかっている日本代表復帰の思いも込めた。

 視察した日本協会の西野技術委員長は「動けているのは、良いんじゃないかな」と評価した。勝てばW杯ロシア大会出場が決まる31日のアジア最終予選オーストラリア戦は、センターFW大迫が右足首負傷で招集できない見込み。金崎は「(C大阪の杉本)健勇じゃないの」と照れたが、大迫の穴を埋める存在として24日に発表される代表メンバーに入る可能性はある。昨年8月に当時の鹿島石井監督への造反行為を問題視されて見送られてきたが、すでにスタッフ会議では候補に挙がっている。

 今夏届いた神戸からの獲得オファーに「魅力的な金額だったし、将来のことを聞いて、ひかれるところも多かった」と初めて心境を語った。断ったのも、W杯出場を最優先に考えた選択だったと周囲に伝えている。8勝1分けでJ1史上2位タイに伸ばした大岩監督の就任後の無敗記録だけでなく、再びハリルホジッチ監督の力にもなる準備は整った。【鎌田直秀】