第1戦を2-3で落としていた川崎フロンターレが、3-1で仙台を下し、2戦合計5-4とし8年ぶりに決勝進出を決めた。東京五輪世代のFW三好康児(20)が先発起用に応え2発と結果を残した。前半29分、MF中村憲剛(36)のヒールパスに抜け出し左足で先制点。後半4分にもDFエウシーニョのシュートのこぼれ球を押し込んだ。

 プロ2年目の昨季は主力として光を放ったが、今季はリーグ戦で10試合出場にとどまり、公式戦での得点はなかった。三好は「今日はやるだけだった。絶対に自分が点を取ってやるぞと思って挑んだ。結果につながってよかった」。右膝のけがもあり、出場機会に恵まれない時期もあった。悩む20歳を陰で支えていたのは、MF中村憲剛(36)、FW小林悠(30)、MF家長昭博(31)、DF谷口彰悟(26)、MF森谷賢太郎(29)ら“頼れる兄貴”たちだった。森谷と家長は戦前に「ゴール決めるよ」と予言していたという。それだけに、三好がゴールした瞬間は選手全員が祝福し、家長は三好をおんぶし喜びを分かち合い、中村は「父親のような感じだよね」と笑った。

 出場機会がなくても、筋トレやフィジカルメニューを居残りでやり、いつか巡ってくるチャンスに備え準備を怠らなかった。三好は「苦しい時間が長かったけど、自分を見つめ直せるいい機会になった」と振り返る。トンネルから抜けだした20歳が、タイトル争いをする川崎Fの頼もしい戦力に加わった。