川崎フロンターレが悲願の初タイトルへ王手をかけた。仙台を3-1で下し1勝1敗、2戦合計5-4と逆転で8年ぶり4度目の決勝進出。2-0の後半7分に退場者を出したが、同様の展開で大逆転負けした9月のアジア・チャンピオンズリーグ(ACL)浦和戦の反省を生かし、堅守からのカウンターを続けて試合終了間際に3点目を奪った。ともに初タイトルを懸けてC大阪と11月4日に埼玉スタジアムで対戦する。

 川崎FはACLの悔しさを糧に変えた。2-0の後半7分、DF奈良が2枚目の警告を受け退場。7分後に失点し、同点に追いつかれれば敗退の状況で、すぐにFW小林主将が選手を集めて声をかけた。「しっかり守ってブロックつくって3点目を取りにいこう」。

 頭をよぎったのはACL準々決勝の浦和戦だ。第1戦を3-1で勝って迎えた第2戦で、1-1の前半38分にDF車屋が一発退場。司令塔のMF中村を下げ、守って“貯金”を守ろうとしたが、逆に3失点で逆転負け。「ACLで僕自身、学んだことが多かった。守る形ではなく、どこかで攻める形を想定した」。鬼木監督は当時の采配を無駄にはせず、この日は中村を最後まで残すことを決断。パスに抜けだせる俊足のFWハイネル、長谷川を投入し攻めの手を緩めなかった。

 後半は相手を2本上回る7本のシュートを放ち、後半45分に長谷川が3点目。中村は「うちのチームは攻めてなんぼ。間違いなくあの経験が生きている」と力を込め、「試合を重ねるごとに、自分たちがやるべきことをやれば、タイトルが近づいている実感を持ってやれている」と手応えを訴えた。準優勝を味わうこと7度のフロンターレがまた1つ、たくましくなった。【岩田千代巳】