鹿島アントラーズがPK戦の末にヴィッセル神戸に敗れ、連覇を逃した。

 後半18分、MF小笠原満男(38)がフワリと浮かした縦パスを、角度のない右サイドで受けたDF昌子源(24)が絶妙なトラップから右足シュート。「ふかさないことだけ考えてました。本当はGKのここ(ニアサイドの上)を狙ったんですけれど、全然違うところにいっちゃった」と苦笑いした弾道は、GKの脇の下をかすめてゴールに転がった。

 だが、勝利目前の後半ロスタイムに、中盤でボールを失うと、相手のカウンターに屈して痛恨の失点。延長前半には途中出場のDF西大伍(30)がネットを揺らしたが、オフサイドの判定にも泣いた。PK戦では5人全員が決めた神戸に対し、3人目のMF中村充孝(27)の右足シュートはクロスバーに当たる不運も。昌子は「ほぼすべて、ボールをとられてカウンターが多かった。最後の場面もシュートを打って相手のゴールキックで良かったんですよ。時間の使い方を考え直さないと」とチーム内で意思統一できていない戦い方を反省。リーグ戦の21日横浜戦から中3日続きで、29日にはリーグ戦アウェー札幌戦を迎える。「連戦で延長になってしまい、120分戦ったのはつらい。体も休めて、次の札幌戦に切り替えていかないと」と残り1つとなったリーグタイトルだけは逃すわけにはいかない。

 また、小笠原は天皇杯デビューとなった98年12月13日の3回戦筑波大戦(3○1)でプロ初ゴールを挙げて以降、積み上げてきた通算試合出場を57試合に伸ばした。同期のGK曽ケ端準や、世界のストライカー釜本邦茂氏の59試合に迫り、読売クラブ(現J2東京V)などで活躍した加藤久氏に並ぶ歴代3位タイとなった。