延長激闘の末、遠野が盛岡商を3-2で下し、5年連続27回目の全国切符を手にした。2-2で迎えた延長後半に、FW立花健斗(2年)が今大会初ゴールとなるミドルシュートを決め、接戦に終止符を打った。これで新人戦、県総体に続き3冠を達成した。

 延長前半を2-2で終える。足をけいれんさせる選手が両チームで続出する消耗戦に突入した延長後半2分、立花のスーパーゴールが均衡を打ち破った。ゴールまで20メートル超の右45度。「相手のマークが寄せてこなかったので思い切り打った」と疲弊したマークを振り切り、利き足の左で決めた。バックスタンドのチームメートに駆け寄ると歓喜の大ジャンプ。とどめの一撃となった。盛岡商とはプリンスリーグ東北でしのぎを削りあうライバル。今季は2戦していずれも先制ゴールを許すも1勝1分けの負けなし。「追いついてひっくり返す自信はあった。焦りはなかった」と冷静な試合運びで少ないチャンスをものにした。

 先発メンバーの平均身長が、170センチと、180センチ超が4人と高さで空中戦を展開する相手に序盤から苦戦を強いられた。だが、持ち味の地上戦で挑み続け、活路を見いだした。168センチのエースFW阿部亮太(3年)は「ロングボールを競るのは苦しかったが、監督からの指示もあり、足もとの攻撃の部分にこだわった」と振り返った。

 昨年は、3回戦で準優勝した前橋育英に0-1で惜敗してのベスト16。全国切符をもぎ取った立花は「3回戦以上、8強入りが目標です」と力強く言い放った。【下田雄一】