Avanzareつくば(東日本リーグ1位)に2年ぶりの王座をもたらしたのは、やはり頼れるエース川村怜(29)だった。ナマーラ北海道(北日本リーグ1位)は4人のFPのうち3人が自軍ゴール前から動かない。ガッチリと守備を固めてきた相手を圧倒的に攻め立てながら無得点で迎えた後半19分だった。

 ゴール正面でボールを受けた川村は、3人の相手守備陣の間をすり抜けるように小刻みなドリブルでゴールに迫る。得意の右足でシュートフェイントを入れると体を逆方向に切り返し、わずかに空いたスペースで左足を振り抜いた。低弾道のシュートがネットを揺らす。勝利と大会MVPを決定づける一撃。準決勝のたまハッサーズ戦に続く決勝ゴールになった。

 「いつかは点が取れると思っていましたが…。それまでずっと右足で狙っていたので、相手の意識もそっちに向いていた。それで最後は左足で狙ってやろうと。よく入ってくれました」。川村は終了1分前の優勝彈をそう解説した。それまではチャンスを生かせずにいたが、最後の最後にクールな判断とアイデアを駆使して鍵のかかった北海道ゴールをこじ開けた。

 日本代表でも主将を務める。昨年12月のアジア選手権では優勝を狙いながら5位に沈み、3位以上に与えられる世界選手権キップも逃している。「僕がもう少し点を取れていたら…」と悔やんだが、20年東京へ向けて代表強化の歩みは止められない。今月21日からは世界の強豪5カ国を招いてワールドグランプリが東京都内で開催される。日本(世界ランク8位)はトルコ(同5位)イングランド(同16位)と1次リーグA組で戦う(B組はアルゼンチン=同2位、フランス=同13位、ロシア=同14位)。

 開幕戦はイングランドに決まっている。「イングランドは体が大きいし、テクニックのある選手もいる。相手のいいところを抑え込んで、逆に日本の攻撃力を発揮して、まず初戦に勝ちたい」と川村。Avanzareつくばを日本一に導いた後は、日本代表のリーダーとしての責任を全うする。【小堀泰男】