ロシアへ猛アピールだ。セレッソ大阪がMF清武弘嗣(28)の2発でベガルタ仙台に2-1と逆転勝ちした。右足負傷による離脱から復帰4戦目で、J1リーグ戦今季初先発。0-1の後半6分にFW杉本との連係から抜け出して同点ゴールを決め、さらに同15分、MF山口蛍の強烈シュートからこぼれた球を押し込み決勝弾。度重なるケガに苦しんできたが、代表へ、逆転選出へ可能性を示した。

 清武の「復活祭」となった。3試合、途中出場の試運転を終えて、ようやく果たした先発出場。「(先発は)ミーティングで。正直、いつでもいける準備はしていた」。0-1とリードを許して前半終了。これも清武の復活を彩る、伏線だったのかもしれない。

 後半6分、FW杉本とのパス交換から抜け出し、ドリブルでDFをかわして右足を振り抜く。「崩しがよかったんで、冷静にGKを見てシュートできた」。そして15分、今度は山口蛍のミドルシュートをGKがはじいたボールの位置に清武がいた。「いつも(柿谷)曜一朗が狙っているところが一瞬だけよぎった。まじでこぼれてきたんで、ベンチで観察しててよかった」。決勝ゴールは、左足で押し込むだけだった。

 昨季はケガで4度の離脱。背番号10を背負い、「今年はケガをしない」と誓いながら、右足の負傷で離脱した。負傷直後には、自身のインスタグラムに「去年から何してるんだ。ケガばかり」と、ぶつけようのない思いをつづった。苦しみがあったからこそ、この日の喜びがあった。「ピッチに戻れて幸せ。もうケガしたくないと思った」と本心をかみしめた。

 「巻き返す気持ちはもちろんある」と話していたワールドカップ・ロシア大会へも、猛アピールになった。

 1年以上、代表から遠のいているが、以前に視察した日本代表の手倉森コーチが「アクセントになりうる選手。戻ってきてもらわないと困る」と評価。それを裏付けるように、逆転選出へ自身の魅力を提示した。「(代表は)みんなチャンスがあると思う」。その戦いに清武が2発で名乗りを上げた。【実藤健一】