前節は、首位サンフレッチェ広島がFWパトリックの2発などで横浜F・マリノスに4-1と大勝し、3戦ぶりの勝利を挙げた。2位のFC東京も鹿島アントラーズに2-1で逆転勝ちして勝ち点7差の2位をキープ。一方、3位の川崎フロンターレは、浦和レッズに0-2で完敗。順位はキープしたものの、V・ファーレン長崎との撃ち合いを3-2で制し4位に浮上した北海道コンサドーレ札幌との勝ち点差は3に縮まった。

 今節の注目カードは、2位の東京が5位ヴィッセル神戸をホームで迎え撃つ1戦だ。東京は1勝2分けとここ3戦、神戸には負けておらず、ホームでも3連勝中と“お得意さま”にしている。一方、神戸はスペイン代表MFイニエスタが家族を伴い同日に再来日の予定で欠場が濃厚。その中、J2FC岐阜から完全移籍で加入したFW古橋亨梧に注目したい。3日に初合流したばかりだが、岐阜では6戦連発を含むJ2得点ランク3位の11得点を決め、前半戦のJ2を席巻した。170センチと小柄だが、鋭い切り込みからのシュートが切れ味が良い。対戦経験のない東京には不気味な存在だろう。

 首位の広島、3位の川崎Fに連勝し、6戦負けなしで7位に順位を上げてきた浦和は、初対決だった3月10日のアウェー戦で1-1ドローだったV・ファーレン長崎とホームで対戦する。FW興梠慎三が3戦連発4ゴールの固め打ちで、J1タイ記録となる7年連続2ケタ得点を達成と絶好調。新加入のFWファブリシオも2戦連発と、前半戦の課題だった攻撃に光が差してきた。一方、長崎は東京に3カ月ぶりの黒星をつけた7月27日のアウェー戦にスタメン、フル出場でJリーグデビューを果たし、勝利に貢献したオランダ人DFヨルディ・バイスに注目だ。1対1で体を張る強さ、後方からの激しいゲキなど早くも闘将ぶりを発揮している。興梠&ファブリシオVSバイスの攻防が試合の行方を左右するだろう。

 神戸の古橋、長崎のバイスに続き、夏の移籍でJ1に加入した新戦力で楽しみなのは、J2レノファ山口FCからガンバ大阪に完全移籍したMF小野瀬康介だ。11年に横浜FCの下部組織にいながらトップチームに登録され3試合に出場し、12年に昇格も、その後は得点は1ケタ台が続いていた。17年に山口に移籍し、チームが降格圏をさまよう中、6ゴールを決めて気を吐くと、今季は霜田正浩新監督の元、決定力を高め大きく覚醒。J2得点ランク2位14得点のFWオナイウ阿道に次ぐ、同4位の10得点を挙げた。切れ味鋭いドリブルとシュートが持ち味の上、ボールキープ力も高まり前線で起点にもなり、山口の攻撃サッカーをけん引した。

 G大阪は宮本恒靖新監督就任後、2戦連続引き分けで16位と低迷が続く。17位サガン鳥栖の15点を2点上回る17点と得点力不足に陥っている中、小野瀬を獲得した。今節は、同じく17得点しか上げられていない最下位の名古屋グランパスとアウェーで対戦する。リーグ戦では2月24日にホームで行われた開幕戦で、元ブラジル代表FWジョーにJ初ゴールを決められるなどして2-3で敗れた。その後、ルヴァン杯では1勝1敗で、公式戦の対戦成績は五分もG大阪は決勝トーナメントに進出した。名古屋も、夏の移籍でJ2松本山雅FCからFW前田直輝を獲得し、その前田が早速、1日のベガルタ仙台戦でゴールを決め2-1で勝利した。どちらの新戦力が光るかが、命運を左右するかも知れない。