川崎フロンターレがエースFW小林悠(30)の2得点で横浜F・マリノスに2-0と快勝し、3位をキープした。前節浦和戦に無得点で敗れた悔しさを晴らした。

 小林が主将でエースの存在感を発揮した。前半34分、MF守田のスルーパスから抜け出たMF家長のマイナスクロスに右足を合わせて先制点。後半26分にはMF中村のスルーパスをペナルティーエリア内で受け、瞬時のターンから左足でゴール左隅に突き刺した。

 1日の浦和戦は3度の相手GKとの1対1を決めきれず、7本のシュートが空砲だった。「気持ちだけではゴールは取れない。シュートの場面では冷静に流し込むことを意識した。前節の失敗を糧にして成長できた」と振り返った。

 0-2で敗れた前節は「自分の責任」とすべてを背負いこんだ。川崎Fで主将と最前線を任される意味を自問自答。「みんなの力を借りて、最後に仕留めるのが自分の仕事」。家族からの「次は入るよ」と前向きな言葉も支えになった。翌日にはしっかり気持ちを切り替え、MF中村が「得点王になるやつはメンタルが違う」と驚いたほど。今節に向けては「シュートを打つ瞬間は感情を入れない」と心をフラットにすることだけを心がけた。「2点目は特にGKもコースもしっかり見えていた」。浦和戦から中3日で心も技もしっかり立て直していた。

 ゴールパフォーマンスも変わった。愛息のアイデアで「妖怪ウォッチ」のガッツ仮面のポーズをしていたが、最近は愛息が新シリーズの「妖怪ウォッチ・シャドウサイド」に興味が移り、ガッツ仮面をやってもそっけない態度を取られたため、変更を決意。1点目を決めたときは「シャドウサイド」の変身ポーズで手でクロスをつくった。「2点目は普通のガッツポーズになっちゃいました」と苦笑したが、家族への感謝をしっかり表現した。

 得点王に輝いた昨季同様、中断明けから4戦4発と夏場に得点を量産している。波に乗るエースは「これからも続けていければ」と誓った。【岩田千代巳】