柏は、残留を争う鳥栖にホームで引き分けた。勝ち点1を得たことを喜ぶべきか、勝ち点2を失ったと嘆くべきか-。

3戦連発となる先制点を挙げたFW瀬川祐輔は「勝ち点2を失ったと考えるべき」と肩を落とした。

前半は相手のマークを外して自由に動き回り、チャンスをつくった。同40分には、MF大谷秀和からのスルーパスに反応したDF小池龍太の右クロスを「とにかく、ふかさないようにした」としっかりと押し込んだ。強い日差しによる暑さと、負けられない意識とが交じり、膠着(こうちゃく)状態だった試合に風穴をあけた。行けると思っただっただけに「(後半7分の)失点の時間帯は相手に押されていた。そこで我慢できないのが課題」。攻撃陣としてはもう1点取ることができなかった。3試合連続の未勝利。だから、反省の弁が口をついて出た。

それでも、10試合ぶりに先発復帰したベテランMF大谷は前向きに捉えた。

「勝ち点3を取りに行っての『1』なので満足はできない」としつつも、2連敗中だったことも加味して「1を積み上げたと前向きに考えて、次の試合につながったと言えるように、しっかり結果を残したい」。

先発から外れた9試合は3勝6敗。外から見て、チーム全体にズレを感じていた。「今までもみんな、すごく頑張っている。ただ、それぞれがプレスに行きたいときに行ったり…。コントロールが、チームとしてできていなかった」。

その役割を自らに課して「つながり」を持たせた。いつ行くのか、それとも今は行かないのか-。その主導権を「自分がある程度、持てた」という鳥栖戦は、全体にまとまりも見えた。先制につながるスルーパスは、そのタイミングを見極めて、FWとボランチの間を埋めに出たことから生まれた。

柏一筋、16年目。2度のJ2降格と、1度のJ1優勝を知る。酸いも甘いも…。その経験から今、必要なことは「一体感」と説いた。

「みんな、やりたいことがあるかもしれないけど、それがチームのためにならなきゃいけない。チームのために泥くさい仕事を全員がしなきゃいけない。そういうところ。犠牲心を持って、それぞれがピッチに立つのであれば、立てない選手の分も頑張らなきゃいけない。順位を考えたらネガティブになるけど、そういうのが練習から出ると、どんよりする。トレーニングから声を出して、みんなでポジティブな空気を…。怠慢なミスとか、集中力を欠いたミスは厳しく言わなきゃいけないけど、チャレンジした上でのミスにはポジティブな声を、全体でかけていく」。

残り7試合。対戦相手を見れば、厳しい試合が続く。その中で、変わっていけるか-。