鹿島アントラーズのクラブワールドカップ(W杯)出場による日程変更で前倒しされた天皇杯準決勝が今日5日、行われる。浦和レッズは4日、鹿島戦(カシマ)に向け大原サッカー場で調整。オズワルド・オリベイラ監督(68)の発案で原則非公開の前日練習を公開し、クラブ初の試みとしてサポーターに横断幕掲示や応援旗を持参しての来場を求め、一体感を高めた。もう1試合は仙台-山形の「みちのくダービー」(ユアスタ)で9日の決勝進出が争われる。

異例の光景が大原に広がった。決戦前日ミーティングを終え、クラブハウスからピッチに出てきた浦和イレブンに拍手と「浦和レッズ」コールが送られる。たなびく応援旗、練習場を囲む83枚の横断幕。「掴(つか)み獲(と)れ天皇杯」「男なら…」など数々のメッセージと約350人の声援を背に、最終調整した。

今日5日に68歳の誕生日を迎えるオリベイラ監督の妙案だった。1日のリーグ最終戦後、練習公開の予告と来場を呼びかけるメッセージを出した。呼応したサポーターが午前10時の開始までに準備を整え、意気に感じた指揮官も全面的に信頼。すべてのメニューを包み隠さず「浦和サポーターは世界で第8の不思議だ。明日の試合、皆さんの気持ちが選手とともにピッチに入っていく」と感謝した。

選手も高ぶった。10番のMF柏木が「僕らへの愛を感じた。(初の試みを)やって良かったと思える結果を出したい」と言えば、GK西川も「想像以上」と発奮。日本代表DF槙野は「(12年に)移籍してから初めて。選手とファンの思いが合致した時、タイトルが近づく」と燃えた。16年ルヴァン杯、17年ACLに続く3年連続の戴冠へ。鹿島との新旧アジア王者対決を前に、浦和がピッチ内外で一丸となった。【木下淳】