ベガルタ仙台は3日の川崎フロンターレ戦で、「令和」初戦を迎える。ここまで2勝1分け6敗の16位と苦しい戦いが続くが、前節4月28日のガンバ大阪戦は2-1で平成を白星締め。ルヴァン杯は3勝1分けのB組首位とムードは上昇中だ。Jリーグではここまで4戦全敗中の苦手アウェーで、昨季王者から勝利をもぎとり、令和からの仕切り直しとする。

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練習開始前、全員で大きな輪を組んだ。王者・川崎Fとの令和初戦を前に、DF蜂須賀孝治(28)の声が響いた。「『挑む』と『逃げる』という漢字には同じ『兆』という字が入っている。でも手ヘンがつくか、しんにょうがつくかで意味が全く違ってくる」。グーグルで調べたとはいえ、仙台大時代に高校保健体育の教員免許を取得した男の説得力ある語りに自然と引き込まれていく。「4-4-2に再び挑戦して『兆し』が見えている。挑むのか逃げるのか。川崎フロンターレ戦、(いろいろな)手を使って挑みましょう。勝つぞ!」。チームの気持ちは1つにまとまった。

平成ラストゲームの勢いそのままに、令和での巻き返しを図る。4月28日のホームG大阪戦では、先制されながら前半ロスタイムにDF永戸がプロ初ゴール。後半ロスタイムにはFW長沢が古巣から決勝弾を決めた。長沢はルヴァン杯でも3戦連続ゴール中と、杜(もり)の都の大砲が本領を発揮し始めている。他の2会場より1時間遅い開始とはいえ、先発が濃厚なハモン・ロペス、ジャーメインの2トップも令和J初ゴールを狙う。

4月24日のルヴァン杯鳥栖戦で、16年から基本としてきた3-4-2-1のシステムを4-4-2に変更した。鳥栖の4バックに合わせる狙いもあったが、逆に相手が3バックにして序盤は混乱をきたした。しかし、そこから立て直し引き分けに持ち込んだことが糧となり、G大阪戦での安定感を呼んだ。今季のスローガンは変革を意味する「レボリューション」。積み上げたものを根源とし、恐れずに前進する。システム変更への対応力も成長の証しだ。蜂須賀は「まだ苦しい状況が続いているんで、気分が上がって少しでもいい方向に行けば。とにかく川崎に勝たないと」と円陣での言葉に込めた思いを、アウェー等々力のピッチでも表現する。【野上伸悟】