サンフレッチェ広島が執念で1-1の引き分けに持ち込んだ。平成最悪の豪雨災害となった西日本豪雨で、最初の大雨特別警報が出てからこの日でちょうど1年。

C大阪戦は「復興支援マッチ」と銘打たれ、ホームの観客とともに誓いを新たにした。

「昨年を考えたら、本当に大変な時期に応援に来てくれた人に勝利で示したかった」と城福監督。試合開始前、両チームの選手がセンターサークルを囲って30秒間、黙とうをささげた。ベンチ外の広島MF青山、OBの元日本代表FW久保竜彦氏らが募金活動を行った。復興イベントに参加した広島市出身で元日本代表MFのC大阪森島社長は「みんなで頑張ろうという思いが伝わったのでは」。1万5032人の観客と思いを共有した。

前半19分に先制を許した広島だが、後半に逆襲した。後半21分、同点ゴールを決めたFWパトリックは「特別な思いで戦った。勝利にはつながらなかったが、少しでも笑顔になるよう、そういう思いだった」。試合後は「がんばろう広島」のTシャツを着た選手が観客にあいさつした。

勝ち点3は奪えなかったが、絶対に負けられない執念をみなぎらせた。地元出身のFW渡は、この日出番はなかったが「当たり前のことが大事。サッカー選手として影響力のある間にいろいろ貢献したい」。今も苦しむ人たちへ、負けない勇気を届けた。【実藤健一】