川崎フロンターレのMF中村憲剛が31日、39歳の誕生日を迎えた。中村は神奈川・川崎市内の練習後、報道陣から祝福されると「39歳」にちなみ、第一声を「サンキュー」と応じ笑みをこぼした。

「30代ラストまで現役でいるとは思っていなかった。38歳ラストマッチで(ルヴァン杯で)優勝して、幸せ過ぎますね。自分が入ったときに比べて、医療も食事も随分、進歩して選手寿命は伸びていくと思う。ただ、現状でこの年齢までやっている選手は多くないので。自分がしっかりプレーすることで、今の30歳過ぎの中堅や若手選手に、そういう選手がいるという道をつくりたいな」と39歳の抱負を語った。

昨季は38歳でリーグ優勝を経験した。しかし、今季は春にけがに悩まされ、復帰と離脱を繰り返した。4月中旬から7月頭まで、リーグ戦出場は1試合。17年にわたる現役生活で初めて「やれない」と感じたという。「怖かったし、全力で走れなかった。また(けがまで)いくんじゃないかって」。

懸命な治療もあり、7月7日にホーム鳥栖戦で復帰して以降は、怖さもなくなり、7月19日のプレミア1部チェルシーとの親善試合ではMVPを獲得。「サッカーのことが考えられるだけで幸せ」と、さらにサッカーができる喜びを感じられた。

苦しい38歳だったが、10月26日のルヴァン杯決勝のコンサドーレ札幌戦でカップ戦初タイトルを手にし、最高の結果で締めくくった。8月には「リーグも取ったけど、チェルシー戦でMVPになり、ルヴァンで優勝して。それと同じぐらい苦しんだ時期もありました。ジェットコースターみたいな1年でしたが、終わりよければすべてよし」と振り返った。

チームメートからは39歳の年齢に「もう40じゃないですか、ヤバイですね」と突っ込まれる。「来年は40歳でしょ、って言われるんだろうな…。服装だけは若々しくいたいな」と苦笑する。ちなみに、誕生日の日に着ていたトレーナーはFW小林悠(32)の一家からのプレゼントだ。

36歳でJリーグMVPに輝き、37歳でJリーグ初優勝、38歳でJリーグ連覇とルヴァン杯初優勝。39歳の今年もまだまだ欲は尽きない。J1で優勝争いをするチームで、ピッチに立ち続けていることに感謝の気持ちは尽きない。「願いがかなっていくんだもん。後輩が成長して頼もしくなって(優勝争いの位置に)連れてきてくれてるから。この年でサッカーを、こんなに楽しくJ1の上位でやれる選手はいない。本当にありがたいし幸せですよ。頼れる後輩、家族、スタッフ…。生かしてもらっています」と感謝の気持ちを口にした。【岩田千代巳】