桐光学園のスーパーエース、FW西川潤(3年)が全国舞台を前に敗れ去った。

前半17分にニアサイドへ走り込み、鮮やかなヘディングシュートでゴールを狙ったが、GKに好セーブされた。その後も鋭いシュートで相手ゴールを脅かしたが、コースはしっかり限定されていた。独力突破を警戒する日大藤沢の厳しく執拗(しつよう)なアプローチをかいくぐれず、決定的な場面をつくり出すことはできなかった。

試合後、メディアに囲まれると「負けたのは自分のせいです」「チームに勢いをつけるプレーができなかったのはエースの責任」「決勝戦、あと1つというところで負けるというのは本当に悔しい」。ぽつり、ぽつり、と消え入るような声で話す。自然と視線は下に下がり、目にはうっすらと涙がにじんでいた。

過密日程とも戦った。U-17ワールドカップ(W杯)に日本代表のエースとして日本の真裏、ブラジルで戦った。11月6日の決勝トーナメント1回戦でメキシコに敗れ帰国すると、2日の休養だけでチームの練習に合流。冷たい雨が降りしきる23日、神奈川県大会準決勝の平塚学園戦を戦った。FKから1アシストしたが、期待された得点はなかった。

その試合後「負けたら終わり。自分の高校サッカーの集大成なので、全員で力を発揮して勝ち進みたい。昨年の全国大会で0-5で負けた悔しさを返したい」と意欲的に語っていた。一方で鈴木監督は「潤をほとんど(代表の活動で)取られてしまうので、コンビネーション、モチベーションをつくっていくのが難しい」と話していた。今シーズンを振り返ってみれば、セレッソ大阪でのJリーグデビューもあり、5~6月はU-20W杯ポーランド大会にも出場。「日本一忙しい高校生」と呼ばれることもあった。

敗れたとはいえ、西川がこだわる「爆発力」は既にJ1レベルにある。前を向いてボールを持てば、スピードに乗ったドリブル突破で相手のディフェンス網を一気に無力化させてしまう。この日は日大藤沢が「西川に前を向かせない」という徹底した囲い込み戦術で、作戦勝ち。試合には敗れたが西川の価値が下がることはない。

「これが最後ではないので。この悔しさを次に生かしていきます」

マジョルカ久保建英と同じ世代。将来の日本サッカー界を背負うと期待される逸材は、プロとしてのさらなる飛躍を誓った。