ガンバ大阪は通算1分け1敗となり、1次リーグ突破はならなかった。直近のJ1リーグ戦(1日川崎フロンターレ戦)から先発8人を入れ替えたものの、宮本恒靖監督(43)は突破への最低条件となる白星を狙いにいった。大分トリニータと痛み分けで目標は達成できなかったが、最大の収穫はDF昌子源(27)の新天地デビューだった。

「(昌子)源は久しぶりの公式戦だったが、最終ラインでしっかり、落ち着いて声を出して若い選手を引っ張ってくれた。個人的なパフォーマンスも、多くいいものが見られた」と宮本監督。3バックの中央に配置し、高尾瑠(23)と松田陸(21)を左右にして最終ラインを組ませた。

今年2月にフランス1部トゥールーズから完全移籍した昌子だが、昨年9月に痛めた右足首がなかなか完治せず、ようやく1日川崎F戦でベンチ入りを果たしたばかり。そこで出番がなかったことで、この日が公式戦デビューとなった。

前半20分には、左ウイングの黒川へ縦パスを通すなど攻撃の起点になった。同29分にはFWパトリックが先制点。敵地で流れを引き寄せたが、同35分に昌子のパスミスから、大分にカウンターで同点ゴールを許してしまった。昌子は試合後の会見で、複雑な表情を見せた。

「僕のミス。試合勘は関係ない。僕らの方がチャンスは多かったし、(大分には)1つのチャンスを僕から作らせたのは残念で、悔しい。改めて1つのミスで失点するポジションだと思う。苦い失点。それを含めて成長したい。チームに迷惑をかけた失点で、次へ忘れずにやっていきたい」

公式戦はフランス時代の昨年9月、Jリーグでは18年12月以来だった。

「僕自身、公式戦は11カ月ぶりだったので、うれしさを感じた。ガンバのメディカルやスタッフには感謝したい。今日は感謝の気持ちを持って試合に臨んだ」と昌子。実際に宮本監督は「90分(の出場は)ちょっと難しい認識だった」と明かし、後半19分で大事を取って交代させた。

J1では6年ぶりの優勝を狙うG大阪は現在、3位の好位置につける。ただ最終ラインに故障者を抱え、手薄な状態だった。そこに従来はJ3を主戦場にしていた松田陸も、トップチームとしての公式戦に初先発(初出場は7月26日ヴィッセル神戸戦)した。

「最初はてこずったが徐々に慣れてきた。3バックなのでカバーの意識をした。隣(昌子)から的確な指示がきて、やりやすかった。自分の持ち味は守備なので、今後も続けてやっていきたい」と松田。

あえてJ1全戦フルタイム出場中のDFキム・ヨングォン(30)とGK東口順昭(34)を大分遠征に同行させず、松田がキムと同じ位置で仕事をこなしたのも大きな収穫になった。サガン鳥栖から移籍してきたGK石川慧(27)の新天地デビューも同じだ。昌子、松田らの新戦力が現れ、タイトル奪還への推進力となるかもしれない。【横田和幸】