Jリーグは11日、プロ野球と合同で「第13回新型コロナウイルス対策連絡会議」をオンライン上で開催した。リーグ再開後、これまでリーグ戦では2試合が新型コロナの影響で中止に。いずれも直前に陽性判定者や陽性の可能性が非情に高い選手が判明したが試合までに濃厚接触者を特定できず、苦渋の決断を下す状況にいたっていた。

この日の会議では、緊急時に濃厚接触者をどう特定するかが議題になった。会議後のオンライン会見で、村井満チェアマン(60)は「こういうことも今後起こり得る前提で、いかに我々独自として濃厚接触者をどう、いわゆる保健所の判断が出るまでの空白の期間にどのような判断をし、感染拡大を防いでいくのか。できる限り試合開催に努力していくのか、このあたりが今日の論点でした。この後、Jリーグとしても独自の濃厚接触疑いの議論を重ねていきますが、そうした非常に重いテーマを議論させていただいたと思います。検査方法についてもPCR検査とは別な形での、非常にスピーディーに結果判定が出るような内容についての意見交換も行いました。いくつかの意見を複合的に判断しながら今後運営していきたい」と語った。

Jリーグは2週間に1度、全56クラブの選手と審判員らを対象にPCR検査を実施しているが、検査と検査の間に感染が判明するケースが出てきている。陽性者が出た場合でも安全に試合を運営するためには、濃厚接触者の特定は不可欠だが、週末は保健所と円滑に連携することの難しさもある。村井チェアマンは「保健所の判断を待たないと濃厚接触か特定できず、その後の記録をとっていると、選手、チームそのものをリスクに巻き込んでしまう可能性があるから、独自の濃厚接触疑いという定義をもって、可能な限り疑いのある選手、関係者を隔離していくことがリスクマネジメント上、求められていることのひとつ。陽性反応と濃厚接触の定義をつぶさに分析すると、ひとつの法則性というか、濃厚接触の輪郭が見えてきた。それをもう1度文言化して、独自に空白期間中はこれを運用する、そして各地域の保健所から新たに濃厚接触が定義されたらそれを微調整していく、こうしたことが感染拡大を防止する大事な要素じゃないかなと感じた」と、濃厚接触の疑いがある人を判定できる独自の基準を早急にまとめる意向。そのうえで「その結果、濃厚接触者疑いを排除する上で試合ができると判断した場合は、試合を行っていくことになる。我々の判断で、リスクとしてのみ込みながら開催する可能性はある認識。社会の規範、陽性の判断を加味しながら進めていく。専門家のご意見も伺っていく」と、保健所の特定が間に合わない場合でも独自基準によって試合運営の可否を判断するケースも出てくるとの認識を示した。

専門家チームからは検査方法についても提案された。短時間で結果が分かる抗原検査や、5人分の検体をまとめて検査して陽性時にあらためて1人ずつ検体を調べるプール方式などが挙げられた。専門家チームの座長を務める東北大・賀来満夫氏は「PCR検査については今2週間に1度ですが、これについてはいろんな意見が出てきているかもしれません。そうした場合により短時間でできる検査、抗原検査みたいなものを導入していくこともひとつあると思いますし、これまでは鼻腔で検査していたが現在、唾液で検査ができるようにもなってきました。そうしたことからも、検体採取も簡便になってきました。今後は2週間に1度の頻度をどうするのかの議論が当然出てくると思いますし、専門家の中でももう1度議論を進めていきたいと思います」と、精度を高めるために検査頻度をどうするかの議論を深めていくことを確認。「予算のこともありますし、すぐにそうしたものに切り替えることが可能かは、両リーグでお考えいただくことが必要になると思います。検査方法についても、例えばプール法という検査方法があります。そうした意味で、いろんな方法を取り入れられるのではないかということも専門家では話し合っているところであります」と、検査全般については両団体とともに引き続き協議していく考えだ。