第99回全国高校サッカー選手権は、31日に首都圏で開幕する。今年は新型コロナウイルスの感染拡大により、高校スポーツも停滞を余儀なくされ、夏の甲子園や、インターハイが中止になった。感染防止を徹底して開催される今大会。日刊スポーツでは「見えない敵を乗り越えて」と題し、注目校を紹介する。

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鹿島学園(茨城)は日本代表MF久保建英(19)の所属先で提携するビリャレアルの育成に色濃く影響を受けてきた。新型コロナ流行前の今年2月には、18年連続のスペイン遠征を実施。下部組織と練習や試合を行ったほか、鈴木雅人監督(45)らコーチ陣は今年もクラブの指導者向け講習に参加した。鹿島学園を率いて20年になる同氏はここで「自分が信じてやまないことほど『?』をつけなさい、と言われた。成功体験を崩すのは難しい。『こうやって勝ってきた』じゃなくて、違う考え方も取り入れないと時代に遅れる」と学びを得て、常に自らをアップデートしてきた。

世代別代表選手を多く抱え育成に定評のあるビリャレアルは、組織内に国際部を立ち上げて各国に指導のノウハウを提供している。その根底には、選手を一社会人として世に送り出す、人間教育の場としてのプライドがある。鈴木監督は「ビリャレアルの指導メソッドは『いかにして生きていくか』にたどり着く。自立した考えをもつ選手にすることが柱の1つ」と話す。

そこで、自らに疑問符を向ける。ビリャレアルは選手以前に、彼らと日々接する指導者の姿勢を重視する。どうしたら選手の主体性を引き出せるか。接し方は今まで通りでいいのか。鈴木監督は「選手に『幅を取れ』と言わずに『どこにスペースがあるかな?』と問いかける。アプローチを変えると、選手が自分で判断して動くようになった」と、指示の出し方1つで選手の変化を実感したという。

情報社会ではサッカーのトレンドも移り変わりが激しい。だから経験に頼らず、その時々の最良を求め続ける。久保が日々学ぶビリャレアルの薫陶を受けて、鹿島学園は31日、全国の舞台に立つ。【杉山理紗】

◆鹿島学園 1989年(平元)開校の私立共学校。サッカー部は04年度に選手権初出場し、過去8回の参加で最高成績は08年度のベスト4。主なOBは鹿島FW上田綺世、徳島MF西谷和希など。在校生には鹿島ユースの選手も多い。今年は女子サッカー部も選手権出場を決めている。