やっと、やっと、つかんだ白星。13戦未勝利だった最下位・横浜FCが、14節目にして、リーグ戦初勝利を挙げた。2月27日に行われた第1節の札幌戦(1-5)から実に77日目。8戦不敗だった湘南に黒星を付け、長かったトンネルを抜けた。

試合序盤から仕掛けた。前半5分。右サイドからのクロスのこぼれ球を拾った右サイドバックのDF前嶋が、ペナルティーエリア手前中央から左足を振り抜いた。逆を突かれた相手GKは1歩も動けず。ボールはゴール右へ吸い込まれ、早々に先制点を奪った。

“笛”にも助けられた。前半31分、湘南の右CK。ペナルティーエリア内で、こぼれ球に反応した湘南MF岡本が押し込んだ。同点かと思われたが、VAR(ビデオアシスタントレフェリー)判定で審議となった。さらにオンフィールドレビューを実施し、主審自ら映像の確認。結果的に、湘南側のファウルが認められ、得点は無効。横浜FCが1点リードで、前半を折り返した。

後半に入っても、集中は途切れなかった。1点リードの後半20分。自陣でのFK。素早いリスタートでMF安永から、前線で動きだしていたFW松浦へスルーパス。ペナルティーエリア手前で中途半端なポジショニングとなっていた相手GKの動きを確認し、松浦が無人のゴールへ流し込んだ。守備陣も奮闘した。前節で今季初初出場となったGK市川は、ビッグセーブを連発。元日本代表のDF高橋も闘志全開で鉄壁のディフェンスを敷いた。

選手たちは耐え忍び、時に強い口調で士気を盛り立ててきた。DF高橋は、かつて「多くの選手が、危機感、悲壮感を持ってやらないといけない。1つ勝てば、とんとん拍子にいくとか、そういう甘い世界ではない」と話していた。高橋とCBを組んだDF韓浩康も「どれだけの選手が、本気で勝ちたいと思っているか」とメディアを通じ、活を入れていた。

誰1人、手を抜くことなく、走り続けた。サポーターも声援を送り続けた。やっと、やっとつかんだ白星。ホームのニッパツに、ようやく笑顔が戻った。