アビスパ福岡が9戦ぶり勝利で、J2自動降格圏17位から13位に浮上した。

前半36分、コンディション不良から8戦ぶり先発復帰のボランチ、MF中村駿(28)がJ1初得点となる同点FKを決めて勢いづいた。

CKのこぼれ球を押し込んだFW山岸祐也(29)の2得点などで勝ち越した。PKを決められ1点差に詰められたが、残留への執念で前回対戦で3失点完敗の相手にリベンジだ。

とはいえ、いまだ17位とは勝ち点3差と、混戦が続く。その中でも光明は見えてきた。

今季、先制された試合で初めての逆転勝ちで、長谷部茂利監督(51)は「こういうゲームができる。そういうことを続けていきたい。歴史を変える。そういうチームだと思う。今までできなかったことをできる可能性のあるチーム、選手たち」と前を向いた。

対清水は、00年12月から天皇杯を含めた公式戦11戦勝ちなし中だった。だが、不名誉な記録も止めた。

ここまで、負の連鎖が続きすぎた。7月下旬から新型コロナウイルス集団感染の影響による調整難を抱えながらの連戦で疲弊した。

さらに、酒気帯び運転による選手の契約解除、FWルキアン(30)、MFジョルディ・クルークス(28)による「紳士協定」破りによる得点から、監督同士の話し合いで生まれた「お返しゴール」で3日のリーグ名古屋グランパス戦は物議を醸した。

また、10日横浜戦では、FW西村の左足にけがを負わせた福岡DF奈良竜樹(28)を誹謗(ひぼう)中傷する投稿が散見。クラブによる悪質なSNS投稿に対する法的措置も検討された。

そんなトラブル続きに比例するがごとく、チームの調子は上がらず失速した。

しかも、その奈良が、残留へ負けが許されない大一番の清水戦で、まさかの欠場だ。それでも「難しい試合になることは想定していたが、よく逆転し追加点を取った」と指揮官。一丸となって、崖っぷちの重圧をはねのけた。