サッカーの元日本代表FW工藤壮人(くどう・まさと)さんが21日午後2時50分に亡くなった。32歳だった。所属のJ3宮崎がこの日、発表した。

工藤さんは2日に体調不良を訴え、3日に入院。水頭症と診断され、11日に手術を受けたが、容体が悪化。17日から集中治療室(ICU)で治療中だった。葬儀・告別式は未定。

 

悼む

 

2013年1月1日。天皇杯決勝。国立。私は翌2日からサッカー担当を離れ、相撲担当になることが決まっていた。優勝原稿で柏レイソル担当を終えられたのは、工藤壮人のおかげだと、感謝している。

準々決勝の大宮アルディージャ戦は、後半48分に工藤の決勝ヘッドで3-2。準決勝の横浜F・マリノス戦も値千金のゴールを頭で決め1-0の勝利だった。

この試合、後半ロスタイムに遅延行為でイエローカードをもらった。決勝には累積警告で出場できなくなった。身を削ってでも、チームの勝利が最優先、そういう男だった。

決勝当日。記者席近くにはベンチ入りできなかった工藤の姿があった。

 

工藤 ラストっすね。オレが勝たせますよ。

記者 スタンドから決めたらエキセントリックだね。たぶん次はキタジ(北嶋秀朗)の9番つけるんでしょ、期待しているよ。

工藤 来季の前に今日勝たなきゃ。みんなに託したし、大丈夫。ここから念を送りますよ。

 

弱音を吐くようなところは、見たことことがない。常にポジティブだった。背番号19から9への変更を志願した13年シーズンも、ナビスコ杯決勝で殊勲のヘッドを決めて1-0の優勝。私の思い出は、頭で決める工藤の姿ばかり。そのたくましい男が、頭の病で、逝ってしまった-。

 

「ア~レ工藤 ア~レ工藤 エキセントリック壮人~」。悲しみをこらえ、布団にもぐり、柏時代のチャント(応援歌)を口ずさむと、工藤がゴール裏に向かって、笑顔でガッツポーズするシーンが、今もよみがえってくる。

【12年柏レイソル担当=鎌田直秀】