J1残留争いの16位に後退した東京ヴェルディの城福浩監督(64)が「一丁目一番地」に立ち返ることを強調した。
次節ファジアーノ岡山戦(20日、味スタ)に向け、東京・稲城市のクラブハウスで取材対応。前節でFC東京に0-1と敗れ、リーグ戦4試合勝ち星なし。しかも両チームの意地が激しくぶつかる東京ダービーに敗れたことは、悔しさもひとしおだろう。
今のチームの状況について、こう明かした。
「ダービーだからっていうよりも、やっぱり我々の置かれた位置とか、今の直面してる課題とか、これを乗り越えようという思いが強かったので、ある意味それは乗り越えられなかった。そこをどういうふうに乗り越えていくかっていうところが大事だと思うし、そこにフォーカスしたい。こういう時だからこそ、自分たちが立ち返るところというか、ここが大事だと思うんでね。もちろん得点力不足っていうのは数字から誰が見ても明らかなんですけども、それを踏まえても何に立ち返るかっていうところが大事です。そこに集中してくれてると思います」
そう言って、大事にすることは自分たちのベースとする部分を強調した。
「もちろん我々が積み上げてきたこと、目指してるものは変わらないけれども、そこの根底にある我々が言うところのベースですよね。そこが強固ではないと、やはり足をすくわれるので、それを盤石にした上での我々がやりたいもの、我々の今の個性を出すというとこになっていくと思うので。そこはこの2試合で相手からもそれを感じたし、我々もそこを見直さなきゃいけないというか、それを崩してはいけない」
4試合連続のノーゴール。29試合で総得点はリーグワーストの16と苦しんでいる。城福監督が大事にする先発選手が全力を出し切った上に、途中出場の選手が攻守の勢いを再点火させる“バトンの受け渡し”が見えない。
前節のFC東京戦で言えば、立ち上がりから東京Vが主導権を握り好機を次々と作ったものの、前半15分すぎから落ち着くと後半も乗り切れない。さらにラスト15分、1点のビハインドを挽回しようという“火事場のバカ力”も出なかった。これについて、こう持論を述べた。
「これチームでも共有してますけど、前半15分か20分ぐらいまで我々のゲームだったんですよ。そこから残りの半分押し込まれたのが前半で、起点になってるであろう選手の守備が甘かったんですよ。それも連続して。なので、そこから全員が押し込まれたっていうのが我々が問題視してるところで、前半が消極的だったとか。逆に言えば、攻撃で見れば、その選手が起点になってるかもしれないけれども、そこの守備が甘くて。フラフラっとプレッシャーに行って自分ところに穴を開けてそこから押し込まれて1分ぐらいボールを握られてるっていうのが何シーンかあったんですよね。実はハーフタイムはそこに思いっきりカツを入れました、ふざけるなと。なので後半はなぜ普通にゲームが、っていうのは守備が甘いんですよ。攻撃に特長のある選手が守備が甘い分、そのプラスを出せるのであれば僕は黙ってますけど、そうでなければこのチームが求める守備を前線の選手がやらなきゃいけないです。交代した理由もその理由ですね」
悔しさがよみがえったであろう。反骨の指揮官ゆえのストレートな物言い。自然と言葉は熱を帯びていた。
岡山は昨季の東京Vを見るような、アグレッシブでチームのために献身的に走り、戦う。その持ち味が出ている今季は29試合を終え、勝ち点39の11位とJ1残留はもう見えている。
当然、東京Vもベースとするアグレッシブな攻守でどれだけ対峙(たいじ)できるかがポイントだろう。そこで優位に立った方がグッと勝利に近づく。
「今年の岡山っていうのは一貫性があって、迷いがないんですよね。去年の我々がね、周りから見てそう見えたかどうかはわかりませんけれども。メンバーも色々変わったこともそうですけども、2年目でもう1個先を目指す中で、戦術的なものだけじゃなくて、メンタルのところとメンバーの入れ替わりっていう難しさに直面しながら今やってる中で、岡山を見ると、本当に立ち返るところっていうのを我々は思い起こさせてくれる。彼らのその全員の、なんていうかな、それこそ火の玉のようなディフェンスから始まるこうスピーディーなサッカーっていうのは我々も目指してた1つで。もちろんやり方はね、多少違うかもしれないけれども、そこのやりがいでやはり負けたくないなという思いはあります」
そして今回はボランチの平川怜が累積警告で出場停止。メンバーが代われば戦い方も少し変わってくる。どう戦っていくのか?
「相手にボールがある前提でボールを奪い返しに行くというか、ハンティングしていく、あるいはセカンドを拾う。そこからスタートするのか。自分たちのボールの中で、失った局面でそこから切り替えることを想定するのかで多少メンバーは変わると思う。もちろん両方ともセカンドのところ、ルーズボールで戦うところはこれ誰が出ても絶対譲れないとこなんですけども。どこの場面から想定するかっていうところで、最大値のこう捉え方っていうのが変わってくると思うので、そこはチームとしてどういう入りをして、どういうつなぎ方をするかっていうのを今いるメンバーの中でしっかり組み立てたいなと思います」
そして屈辱的な連続無得点を食い止めるため、ポイントになるのはセットプレーの改善、さらにはゴール前でパンチの利いた一振り。強く、枠に飛ぶ正確なシュートを打てるかどうかだろう。そんな中、「いいキックがある」と期待を込める選手の1人がMF熊取谷一星だ。
「彼のキックっていうのは1つ、このチームの武器だと思います。だからこそ途中から託す時間が長くなっていると思うんですけども、もちろん彼が攻守において貢献することで、自分の出場時間を獲得していってほしいというふうに思います。それでクロスの場面をつくるにしても、セットプレーの場面を作るにしても、まず奪ってマイボールにして、相手陣深くに行かないとその状況にならないので、まずその戦力としてもう1つ成長してくれれば。もっともっと彼のキックっていうのがこのチームの武器になりうるような、長い時間出場させられることになるんじゃないかなというふうに思う。いわゆる技術と判断っていうと、このスキルのところをさらに磨きをかけていってくれればいいかなと思います」
そして夏に綱島悠斗がベルギー1部アントワープへ移籍して以降、得点の香りが薄くなっているセットプレーについてもこう語った。
「元々このチームは高さがストロングではなかったんですよね。それをスタッフ陣の入念な準備でセットプレーの守備っていうのはかなり頑張ってくれていて、セットプレーの中で点を取られるってことが今ほとんどないですよね。身長差は関係ない中で、みんなが集中してくれてるということだと思います。攻撃においてはもうひと工夫、ふた工夫しないと、高さっていうのが失われている分、それはクロスを放棄するってことじゃなくて、入り方とか、ショートコーナーとかクイックリスタート含めて、そこは工夫が必要だと思いますけども。いずれにしても、身長がどうであれ、自分が決めるんだっていうような迫力とか、このタイミングで絶対ボールが上がってくるっていう意思統一っていうのは大事になると思うんでね。そこは試合までにさらに改善できるといいかなと思います」
けれん味のない攻守を持ち味とする岡山との似た者対決。火の玉ディフェンスの応酬となりそうだ。1点を巡り、東京ダービーに続く熱い戦いが味スタで繰り広げられそうだ。【佐藤隆志】



