磐田は1-0で長崎に完封勝ちし、安間貴義監督(56)就任後初の2連勝を飾った。リーグ戦では前体制を含めて今季初の3バックを採用。直近16戦負けなしだった2位の相手と同じ布陣で臨み、前半にFW渡辺りょう(29)がPKで挙げた1点を守り切った。残り3試合で8位から7位に浮上。今季、クラブが目標に掲げた「J2優勝」は消滅したが、逆転でのJ1自動昇格(2位以内)に望みをつないだ。

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負ければJ1自動昇格が消滅する一戦で指揮官の大胆な采配が奏功した。文字通り、安間監督の「あんマジック」だ。磐田はリーグ戦で今季初めて3バックを採用。リーグ最終盤に新たな布陣で臨むリスクは覚悟の上だった。ただ、その勝負の一手がはまった。

前半序盤は劣勢の展開も、徐々に流れは好転した。MF中村駿(31)は「守備でうまくボールを取れるシーンが多かった」。前線からのハイプレスでパスの出どころを制限。相手の攻撃陣をマンツーマン気味に抑えた。さらに、安間監督は中盤にボランチを本職とする3人を配置。「スリーボランチ」の奇策で中央を固めた。

「それぞれの場所で自分の仕事をこなしてくれた」。送り出された選手がピッチで自らの役目を全うし、組織的な守備を構築。0-0で迎えた前半45分にはMFブラウンノア賢信(24)の突破からPKを獲得し、渡辺が決めて均衡を破った。PKを獲得した直前も前線からのハイプレスが起点になっていた。

勝てた要因は1つではない。惨敗した苦い敗戦も糧にした。先月18日の徳島戦はホームで0-4。安間監督は同試合後から3バックの構想を持っていたという。さらに、選手の発奮にも期待した。「気持ちで勝てるわけではないけれど、気持ちがなければ勝てない」。球際の局面で負けない意識を強調し、16戦負けなしだった難敵を封じ込めた。

首位水戸がこの日勝利したことで今季目標に掲げた「J2優勝」はなくなった。それでも、J1昇格プレーオフ圏内の6位仙台との勝ち点差は「1」。残り3試合に向け、指揮官は「次も戦える選手を真剣に選んでいく」と言った。プレーオフを見据え、戦術のオプションが増えたこともプラス材料。ラストスパートをかける万全の態勢は整った。【神谷亮磨】

○…エースの渡辺が気迫でねじ込んだ。前半45分、PK獲得でキッカーに名乗り出ると、迷わずに右足一閃(いっせん)。中央を狙ったシュートは相手GKに読まれたが、股の下を抜いてネットを揺らした。前節のアウェー愛媛戦ではPKを失敗。試合後は「蹴った瞬間に前回のイメージがよぎったけれど、今日は(サッカーの)神様が少し味方してくれた」と安堵(あんど)の表情を浮かべた。