レアル・ソシエダードの日本代表MF久保建英(22)の今季が終了した。誕生日を迎えた4日(日本時間5日)のリーグ最終節セビリア戦で後半27分までプレーし、存在感を発揮。同リーグ日本選手初の1シーズン10得点はならずも、同最多の9ゴールをマークした。名門レアル・マドリードとたもとを分かち、加入1年目で覚醒。苦労を重ねた末に見つけた「完璧な家」と愛するクラブへの残留も明言した。来季は自身初の欧州チャンピオンズリーグ(CL)に挑戦する。

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主力としてシーズンを走りきった。ベンチへ下がる久保へ、スタンドから惜しみない拍手が送られた。22年8月、開幕カディス戦でいきなり決勝点。古巣のRマドリード戦を含め、得点を挙げた全9試合で勝利した。マン・オブ・ザ・マッチはチーム最多9度。チームMVPにも選ばれた。念願のCL出場権をつかんだ背番号14は、かみしめるように何度も手をたたき、ねぎらいに応えた。試合後は自身のインスタグラムに集合写真を投稿し「1年間応援ありがとうございました」と感謝をつづった。

Rマドリードからの決意の完全移籍で始まったシーズン。スペインメディアからは、疑問を投げかける声も上がっていた。「ラ・レアル(Rソシエダードの愛称)の人たちが、僕のことを必要としていないのでは、と心配したこともありました」。本拠サンセバスチャンの地を踏んだとき、心の奥底にあった一抹の不安。自らのパフォーマンスで少しずつ、我慢強く、消し去ってきた。

19年7月から、期限付き移籍を繰り返してきた。マジョルカ、20-21年はビリャレアルとヘタフェ、昨季は再びマジョルカ。ビリャレアルでは試合に出られず、終了後の誰もいないピッチでシュート練習を繰り返したこともあった。ロングボール多用のカウンター戦術だったヘタフェではボールが頭上を飛び交い、プライドを捨ててプレスに走り回った。昨季は残留争いをするマジョルカで、終盤は出場機会を失って助けになれなかった。苦労を重ねた末の4シーズン目に、躍進の時が待っていた。

今や、実力を疑う者はいない。「ピッチ上でこれほど信頼されていると感じられるのは、プロになって以来なかった」と、充実を口にする。Rマドリードへの復帰説がささやかれた際は、自ら残留を宣言した。来季はいよいよ、欧州最高峰の舞台が待っている。「CLで輝いて、欧州にソシエダードの名を売りたい」。ここから、久保のターンが始まる。

○…セビリア戦では、いつも通り4-3-3の右ウイングでプレーした。かかとを使った華麗なフェイントでDFを置き去りにするなど存在感は抜群。マッチアップした相手のサイドバックを前半で交代に追い込んだ。スペイン紙ムンド・デポルティボは「(MF)ブライスとの連係は銀河系レベル。スーパーな補強だった」と最大の賛辞を贈った。

▽Rソシエダード・アルグアシル監督 「我々はタケに満足しているし、とても誇りに思っている。素晴らしいシーズンを過ごしたが、とても若いし多くの才能を備えているのでもっともっとやることができる」

<久保スペイン4シーズン成績>

◆19-20年=マジョルカ35試合4得点4アシスト

◆20-21年=ビリャレアル13試合0得点、ヘタフェ18試合1得点1アシスト

◆21-22年=マジョルカ28試合1得点0アシスト

◆22-23年=レアル・ソシエダード35試合9得点4アシスト

※リーグ戦のみ