【ドーハ(カタール)=上田悠太】日本記録保持者のサニブラウン・ハキーム(20=フロリダ大)は予選6組で10秒09の3着となり、28日の準決勝進出を決めた。桐生祥秀(23=日本生命)、小池祐貴(24=住友電工)はともに予選4着ながら、タイム順により無事に突破。男子100メートルの日本勢は2大会連続で3人とも準決勝に進出した。

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サニブラウンはスタートで出遅れた。左隣は優勝の最有力候補のコールマン(米国)。それも「スタートは速いと思っていたので、特に気にせず、いないものだと思って走りました」。想定通り、世界トップクラスのスタート技術を持つ男に直後から先行された。それでも焦ることなく、中盤からは徐々に加速。最後は余裕を持ちながら、コールマン、ジャコブス(イタリア)に続く3着でフィニッシュ。日本勢で唯一、順位で準決勝進出を決めた。

サニブラウンはレース後、「あまり何も考えず、とりあえず予選は通ればいいかなと思っていた。適当に走ったわりにはよかった」と苦笑い。それでも優勝候補のコールマンと0秒11差の10秒09はさすがだった。まったく緊張はなかったそうで「何も感じなくなったのは怖いですね」。世界選手権とはいえ、予選ではスイッチは入らなかったようだ。

準決勝へ向けては「調子はいい。準決でもう1段階刻めれば」。前回大会は4歩目でバランスを崩し、決勝進出は夢と散った。当然ながら、準決勝は強豪そろう。3レーンは自己記録9秒91の蘇炳添(中国)、4レーンは今季9秒96を出しているアーロン・ブラウン(カナダ)、5レーンはコールマン、8レーンは自己記録9秒97のアダム・ジェミリ(英国)。サニブラウンは9レーンだ。平常心で挑みながら集中力も高め、世界を驚かす走りを見せていく。