盟友の思いを胸に駆け抜けた。日本郵政グループの20年東京オリンピック(五輪)女子マラソン代表鈴木亜由子(28)がエースが集う3区(10・9キロ)で34分42秒の区間2位の快走。チームは2時間15分10秒で3年ぶり2度目の優勝を果たした。

故障明けで欠場となった17年世界選手権女子5000メートル代表の鍋島莉奈(25)から激励のメッセージと御守りを授けられ力に変えた。2位はダイハツ。3連覇を狙ったパナソニックは3位だった。

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少し照れくさそうに宙を舞った。優勝が決まると、鈴木はチームメートから胴上げされた。「最高の流れを作ってくれた。みんなに感謝したい」と笑った。

Vへの流れを加速させた。広中、菅田と高卒1年目2人がつないだタスキを先頭で受けた。マラソングランドチャンピオンシップ(MGC)後、練習を再開したのは10月中旬。状態は「6割」ほども、先輩が首位を譲るわけにはいかない。「意地で走りました」。MGCを戦った前田、松田、福士、上原が集った最長区間の3区で区間2位。チームは6区間中、高卒ルーキー4人というフレッシュな布陣で関根、鍋島と主力も欠く中、存在感を示した。

仲間の思いを力にした。レース前夜。鍋島から激励のメッセージが書かれた写真をもらった。1週間前に東京・小金井市の寮近くにある山王稲穂神社に2人で優勝を祈願し、買った御守りと一緒に。鍋島は19年世界選手権5000、1万メートル代表に決まるも、右脛骨(けいこつ)疲労骨折で欠場を余儀なくされた盟友。「力出ましたよ」と鈴木。その思いに結果で応えた。

今後は「自分の殻を破る」がテーマ。さらなる成長を誓う。【上田悠太】