女子中距離の田中希実(23=ニューバランス)が、1500メートルで4連覇を飾った。4分8秒29をマークし、2位に10秒近くの差をつけた。

同種目の4連覇以上は、10年まで5連覇した吉川美香以来、13年ぶり2人目の快挙。8月の世界選手権(ブダペスト)の参加標準記録(4分3秒50)には届かなかったが「最後まで自分の走りを見失わなかった」とうなずいた。

快走の陰には「世界」を見据えた“プラン変更”があった。

前日の予選後には、残り400メートルでの60秒切りを強調したが、この日のレース前に「ラスト800メートルにこだわる」と目標を定め直した。

変更に至った理由の1つは、海外でのレースを想定したため。「海外勢はラスト800から動くことが多い」。4連覇が懸かる状況にも「世界のことを意識して今日は臨んだ」と覚悟は固まっていた。

その狙い通り、残り800メートルほどで前へ出た。後続との差を広げていく。独走状態でフィニッシュした。

「自分の殻を破りたくて、しんどいことにチャレンジしたかった」

理由を説く表情は生き生きとしていた。充実感のようなものが漂った。

4日には女子5000メートルにも臨む。優勝すれば、史上初の2大会連続の2冠となる。

「どういうレース展開になるかは読めないが、5000メートルも参加標準記録(14分57秒00)を切れていないので、狙えるレースになれば」

世界に通ずる走りで、壁を打ち破っていく。