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 ニューイヤー駅伝は1月1日、群馬県庁前発着の7区間100キロで行われる。優勝候補の一角日清食品グループは超豪華メンバーで3年ぶりの栄冠を狙う。

 日清食品グループのエースは4年連続日本代表の佐藤悠基(28)。さらに脇を固めるメンバーもほぼ全員がニューイヤー駅伝か箱根駅伝の区間賞経験者。そこにスーパールーキーの大迫傑(23)が加わり、他チームもうらやむ豪華なメンバーがそろった。

 今回のニューイヤー駅伝の特徴は、史上最強と謳(うた)われた学年の選手たちが、上位候補チームすべてに入社したこと。そのなかでも早大時代にユニバシアードで優勝し、1万メートルで日本学生最高記録となる27分38秒31をマークした大迫の力は抜け出ている。

 今季の大迫は練習拠点を完全に米国に移している。ナイキ・オレゴンプロジュクトで練習を積みながら、日本選手権1万メートルは3年連続2位。さらに昨年のモスクワ世界陸上に続いて仁川アジア大会も代表入りし、1万メートルで2位と、日本勢16年ぶりのメダルを獲得した。大迫は「ニューイヤー駅伝では今の自分の力を最大限に出して、優勝に貢献したい。区間賞は是非とも取りたいですね」と力強い。

 1年前は箱根駅伝前にチームから離れ、オレゴンプロジュクトの練習に参加。箱根に集中していないと、一部から非難もされた。だが大迫の目指しているのは世界で戦うこと。箱根駅伝は20キロ強の距離で、大迫がやりたかった練習とは「方向性が違った」(大迫)。

 それではニューイヤー駅伝についてはどう考えているのか。大迫は「12~15キロの距離なので、トラックで力のある人が強い。そのための特別な練習は必要なく、実力差が反映される印象です」と話す。まさに“大迫向き”の駅伝といえそうだ。

 大迫も決して、箱根駅伝が嫌いだったわけではない。お祭りのような気分の高揚、1人で走ることではないワクワク感を味わうことができたという。一方、ニューイヤー駅伝に対しては「企業人として1年で最大の結果を求められ、期待をされる大会。箱根とは逆の意味のハラハラ、ドキドキを感じています」と初めての大会への思惑を話した。大迫は1区か3区での起用が予想され、その走りが勝敗を左右するのは間違いない。

 近年の日清食品グループの強さは佐久長聖高の先輩でもある佐藤が支えてきた。入社後の5年間で区間賞3回と区間2位が1回。チームを2度の優勝に導いている。佐藤はトラックの日本選手権も4連覇と負け知らずで、今季も10月のアジア大会代表に。アジア大会で故障があり、11月の実業団駅伝の東日本予選は大事を取って欠場したが、12月上旬の5000メートルの記録会で復帰している。

 佐藤が4区で快走することがV奪還の近道だが、今季の日清食品グループは佐藤や大迫が“最低限”の走りをすれば勝てるだけの戦力が整っている。11月の東日本予選では小野裕幸(28)、村沢明伸(23)、矢野圭吾(23)の3人が区間賞を獲得。1区では佐々木寛文(24)が他チームのエースと走って区間3位となり、白水昭興監督は「一番の収穫」と笑顔を見せた。最長区間の2区で区間賞に迫った高瀬無量(25)も力がある。

 ルーキーに頼らなくても優勝できる戦力があるところに、大迫が加わったのが今季の日清食品グループの強さなのだ。