金哲彦氏(47=ニッポンランナーズ代表)が大会初日に行われる女子マラソンの見どころを語った。

 盆地のテグは暑い…という当初の予想は外れてしまいました。レース当日の予報は最低気温が20度、最高が25度で、湿度も89%ですが数字ほどではありません。涼しいコンディションでのレースとなると、序盤からスピード勝負に出るアフリカ勢が、より有利になりそうです。最初の15キロまでは、5キロを16分台で入るのでは。日本勢としては、17分台の落ち着いた入りで、後半の粘りに勝機を見いだすのが理想。16分30秒を切るようなら苦しいでしょう。

 優勝候補を、2つの視点で挙げてみます。今季の世界10傑の選手には勢い、過去の五輪や世界選手権のメダリストには勝負強さがあります。

 今季3位(2時間20分46秒)のE・キプラガト(31=ケニア)、同8位(2時間22分45秒)のA・メルギア(26=エチオピア)、同9位(2時間22分51秒)のP・ジェプトゥー(27=ケニア)らは、スピードに乗ったら強い。ケニア生まれのI・アンダーソン(スウェーデン)も出場選手の中では今季7番目のタイム(2時間23分41秒)を持ち、ダークホース的存在です。

 一方、前回銀メダルの尾崎好美(30=第一生命)さんには、その勝負強さから金メダル候補に挙げる海外メディアもいます。ベテランの赤羽有紀子(31=ホクレン)さんも、後半の粘りに期待したいところです。中里麗美(23=ダイハツ)さんには勢いがあります。来年のロンドン、さらに次の五輪の期待も背負うでしょう。

 スピードでは劣る日本勢ですが、利点もあります。市街地で周回コースの道路は、かまぼこ形でバランスを崩しやすい。ただ車で走るだけで下見を済ます選手も多い外国勢とは違い、何度かの試走で準備できているでしょう。高低差も40メートルほどで急な坂もなく、勝負どころのポイントも身に染み込ませやすい。加えて、日本から近い地での開催ということで応援も多い。沿道の声援も力になるはずです。