歴史を変えた。新潟工が78年に8強入りした同校以来、県勢39大会ぶりの2勝目を挙げ、3回戦進出を決めた。明大中野に20-14で競り勝った。10-14の後半19分にフランカー曽我勇斗(3年)が逆転トライ。平均体重89・5キロのFWを軸に、この試合で挙げた3トライすべてをモールで押し込んだ。元日は8強入りをかけて桐蔭学園(神奈川)と対戦する。

 ノーサイドの笛と同時に新潟工のメンバーはグラウンド上で思い思いのガッツポーズを見せた。歓喜の声を上げながら抱き合い、涙を流した。

 6点リードで迎えた後半ロスタイム。自陣でモールを組みながら、相手の攻撃をしのいだ。中心に立ちながら壁になっていたプロップ近藤芽吹(3年)は、チームメートにげきを飛ばし続けた。「絶対に勝つぞ!」。モールから出たボールをSH本間虎太郎(3年)が蹴り出す。試合終了のホイッスル。閉ざされていた扉をこじ開けた瞬間だった。

 「長かったです」。樋口猛監督(44)はホッとしたようにつぶやいた。先人たちが挑んでは、はね返され続けた花園2勝の壁。それを新潟工らしい戦いぶりで突破した。

 前半を10-7で折り返したが、後半6分にトライとゴールで7点を返され10-14。明大中野のスピードのある攻撃に振り回された。ただ、動揺はなかった。「相手はモールを下に崩しにきた。嫌がっているのが分かった。前に出ていればいける」。そう感じていた曽我が、後半19分にゴール前のモールから飛び込んで逆転する。慌てることなく自分たちの持ち味のFW戦を挑み続けた。

 前日29日、午後の練習が休みになった。宿舎で同部屋のFW6人は、午後2時過ぎから夕食前の同6時過ぎまで睡眠を取った。「2回戦は絶対に疲れる。少しでも備えておこうと思った」と近藤。3トライすべてをモールから奪い、自陣からでもモールを押した。蓄えた体力を武器に挑んだ力勝負が功を奏した。

 歴史的な勝利だが、これで満足ではない。SO小林大也主将(3年)は言う。「スローガンは『歴史をつくる』。だから次も勝つ」。目標は39大会ぶりのベスト8。3回戦の相手はAシードで優勝候補の一角、桐蔭学園だ。花園2勝目は通過点にすぎない。【斎藤慎一郎】