「東の横綱」のキーマンは1年生だ。全国高校ラグビーの準々決勝が3日、大阪・花園ラグビー場で全4試合行われる。常翔学園(大阪第2)と対戦する前大会準優勝の桐蔭学園(神奈川)は2日、神戸市で最終調整を行い、SH小西泰聖(1年)が存在感を見せた。

 部員101人の中、唯一1年生でメンバー入り。中学時代はSOだったが、正確な球さばきと、100メートル11秒4の俊足で攻撃のリズムをつくる。今大会は2回戦、3回戦ともに後半の“切り札”として出場。相手が疲れた時間帯に166センチ、67キロの小西がスピードをいかした早いボール回しで多くの得点に貢献した。「判断力はまだまだですが、持ち味である足を使ったプレーで勝利に貢献したい。3年生と一緒に優勝を味わいたいです」。

 3回戦の新潟工(新潟)戦ではCTB斉藤大朗(3年)が微熱により欠場した影響などでキッカーの大役を務めた。中学時代は蹴っていたが、練習不足からゴールキックを6本中5本外した。この日は、全体練習前後に斉藤らとGKの練習を行い、正確なキックを連発した。「いつ、またキッカーに選ばれても良いための準備です。徐々にヒットしてきました」。藤原秀之監督も期待の上で「小西!!」と声を張りながら注視し、練習後にはアドバイスを送っていた。

 関西入りして9日目を迎えた。小西は開会式が行われた先月27日に大阪名物のたこ焼きを食べた。「おいしくて感動しました。『大阪へ来たー』と実感が湧きました」と、うれしそうに満面の笑みで答えた。

 準々決勝は、強固なFW陣が真っ向勝負してくる常翔学園と対戦する。藤原監督は「前半の入りが重要で点が取れるかがポイント。FWはダンプカーのような力強さがあり、スクラムは今大会で一番強いと思う。FWを打開して総合的に戦わないと勝てない」と話した。

 初の単独優勝まであと3勝。初々しさが残る期待の1年生が、大きな武器となりそうだ。