2連覇を目指すBシード東海大仰星(大阪第1)が40-12で東京(東京第1)を下し、準決勝進出を決めた。前半12分にNO8吉田大亮(3年)が勝ち越しトライを挙げ、この日に全国高校選手権で8強入りを決めたサッカー部との「アベックV」を誓った。明日5日の準決勝で前回大会決勝で退けたAシード桐蔭学園(神奈川)との再戦が決定。

 快勝の余韻もほどほどに、東海大仰星の吉田はロッカールームでスマートフォンを手に取った。「前半終了、1-0」。サッカー部の途中経過を知るや「1年生の時から『僕らの代はラグビー、サッカーで日本一になろう』と言ってきた」とほほえんだ。2-0で8強入りを決めたサッカー部の中務(なかつか)監督が担任で、MF松井主将らは同級生。関東で戦う仲間の快進撃は、ラグビー部にも追い風をもたらしている。

 日本一経験がないサッカー部に対し、大会2連覇を目指すラグビー部を引っ張ったのが吉田だ。7-7の前半12分には相手ゴール前のラック際を、184センチ95キロのパワーでこじ開け勝ち越しトライ。昨年4月の選抜大会まではBKだったが、プレーの幅を広げるべく湯浅監督から「大阪に帰ったらFWをやれ! 一晩で決めろ」と声をかけられた。幼稚園からBK一筋の男にとって「ものすごく考えました」という転換期。前向きに腹をくくった。

 転向後は毎日5~6合の白米を平らげ「FWでやるからには」と徹底的に体を作った。約9カ月間で体重は20キロ増。その成果を見せた吉田は「(トライは)あと少しのところまでチーム全員が運んでくれたから。たまたま自分だった。そこからチームが乗っていって良かったです」と笑った。泥臭いFWの前半4トライが勝負を決め、伝統の全員ラグビーが際立った。

 前日2日の夜、湯浅監督は「やっとベッドで眠れます」という同校吹奏楽部顧問からのメールを受け取った。50人規模で年末から大阪-東京間を往復する吹奏楽部は昨晩、ようやく東京のホテルに腰を下ろした。バスでの車中泊を続けながら鳴り物でサッカー部を、花園では声援で背中を押してくれる仲間たちもいる。フランカー山田主将は「目指すのはアベック優勝だけ」。前回大会決勝で破った桐蔭学園との準決勝は、サッカー部の準々決勝と同じ明日5日。共闘を終わらせるわけにはいかない。【松本航】