最後は単独優勝で終わる。全国高校ラグビーの準決勝が5日、大阪・花園ラグビー場で行われる。前回大会の決勝で敗れた因縁の東海大仰星(大阪第1)と対戦する桐蔭学園(神奈川)は4日、神戸市内で最終調整を行い、CTBの渡辺晃生(あきお、3年)がリベンジへと闘志を燃やした。

 ニュージーランド人の父と日本人の母を持ち、甘いマスクからは想像ができない激しいディフェンスが持ち味。「晃生!!」。グラウンドから飛び交う声に反応し、体を張ってディフェンスをまとめる。「残り2勝。絶対に勝つという思いしかありません。単独優勝という目標を達成するために、ここまでやってきました」と力を込めた。

 自然とラグビーの道に進んだ。父親はラグビーの強豪国、ニュージーランドの元オークランド代表で、その影響もあり小学校の頃からラグビーを観戦してきた。東福岡と両校優勝だった10年度大会決勝で、松島幸太朗(現サントリー)らが活躍する姿を見て、桐蔭学園中への進学を決意。昨年3~9月にはニュージーランドへラグビー留学して、本場のパスやタックルなどを学んだ。「当たりは強いし、ボールをつなぐ技術などが違う。良い刺激になりました」。

 今大会は本場仕込みの軽快なステップや突破力で、多くの場面でトライにつなげ、勝利に貢献した。現在は、日本とニュージーランドの両方の国籍を持つ。卒業後は海外でのプレーを視野に入れて同国の大学に進学する。そのため、今大会が日本での最後の大会となる見込みだ。「最後は完全燃焼して、勝って終わりたいです」。

 東海大仰星はFWとBKが一体となったスピード感あるプレーが持ち味。藤原秀之監督は「大阪のトップチーム。前大会で苦い経験をしているので、点差が開かないようにくっついていきたい。FWがしっかりと前に出て、試合の流れを持っていかれないようにしたい」と話した。

 スターは不在だが、総合力で4強まで勝ち進み、試合を重ねるごとに桐蔭学園らしさが出てきた。試合ごとに選手を入れ替えて先発15人ではなく、登録メンバー25人で戦ってきた。悲願の「単独優勝」まであと2勝。全員ラグビーで歴史を塗り替える。【峯岸佑樹】