「SEIMEI」での演技構成点は、15年GPファイナルで100点中の98・56点とほぼ満点を出している。だが、技術点には天井がない。当時より基礎点が10点近く高いため、ミスなく滑れば世界最高得点もありうる。SPと合わせ、自らの持つフリー、合計の世界最高点を「超えないと」と当たり前のように言った。

 表現も進化する。「SEIMEI」の再演を見据えて、昨季はフリーに「ホープ&レガシー」を選んだ。久石譲さんのピアノに合わせ、風や樹木など日本風景を描くことに注力した。「昨季学んだように、日本の自然の風景を取り込みつつ、キャラ立ちしている演技ができれば」。安倍晴明を演じつつ、日本らしい風景を感じさせるような演技を目指したいとした。

 五輪開幕まであと半年。「連覇したい」と66年ぶりの偉業達成をあらためて目標に掲げた。「間違いなくこの3年間で、ソチよりは成長した」。その自信を胸に、今季初戦の9月20日開幕のオータム・クラシック(モントリオール)から完成度を高めていく。

 ◆SEIMEI 愛読する夢枕獏氏の小説を原作とする平安時代の陰陽師(おんみょうじ)、安倍晴明を描いた01年公開の映画「陰陽師」のサウンドトラック曲をアレンジ。羽生自身が「SEIMEI」と名付けた。振り付けはカナダの女性振付師シェイリーン・ボーン氏。能や狂言など日本伝統の動きが取り入れられている。