世界ランキング19位の大坂なおみ(20=日清食品)が、6日(日本時間7日)日本女子では全米、4大大会とも初の決勝進出を成し遂げた。準決勝で同14位のマディソン・キーズ(23=米国)を6-2、6-4で下した。日本時間9日午前5時からの決勝ではあこがれの同26位のセリーナ・ウィリアムズ(36=米国)と対戦する。日本女子史上初の快挙はなるか。彗星のごとく現れた大坂の足跡をコメントなどから振り返る。


2016年1月16日・全豪予選最終日=対戦したいのはセリーナ


日本女子の18歳の大型新人が4大大会初の本戦入りを果たした。米国人の父と日本人の母を持つ世界145位の大坂なおみが、予選決勝で同150位の張愷琳(中国)を6-2、6-1のわずか64分で下した。4大大会予選3大会目の挑戦で、けた違いの強さを見せた。

ハーフとして、嫌な思いをしてきたこともあるという。黒人のセリーナがしばしば差別的扱いを受けながら、堂々と世界女王として君臨するところに共感を覚える。「本戦で対戦したいのはセリーナ」。


全豪オープンの女子シングルス予選3回戦で、中国選手にストレート勝ちした大坂(共同)=2016年1月16日
全豪オープンの女子シングルス予選3回戦で、中国選手にストレート勝ちした大坂(共同)=2016年1月16日

2016年1月19日・全豪1回戦=(日本語は)速すぎたラップみたい


予選を突破した女子の世界127位大坂なおみ(18)が、初の4大大会で初勝利を挙げた。14年に17歳でツアー優勝を遂げた同104位のベキッチ(クロアチア)に6-3、6-2のストレート勝ち。18歳3カ月での4大大会での勝利は、日本女子では沢松奈生子の17歳2カ月に次いで史上2番目の若さとなった。

「エキサイティングよ。本当に幸せ」。ベンチに戻ると、180センチの長身をかがめて、観客にペコ、ペコと2度おじぎをした。

試合後の会見には、米国の記者も10人近く駆けつけた。会見は通常、英語の次に母国語で行われる。それを司会者から伝えられると「え~英語だけでお願い」。日本語で「ごめんなさい」と謝ると、英語での爆笑会見。

 ──日本語は

 大坂 勉強したい。1回トライしたんだけど、速すぎたラップみたいに聞こえて、緊張しちゃった。 


強烈なサーブを放つ大坂なおみ。この日もフォルトながら時速201キロをマークした(撮影・吉松忠弘)=2016年1月19日
強烈なサーブを放つ大坂なおみ。この日もフォルトながら時速201キロをマークした(撮影・吉松忠弘)=2016年1月19日

2016年1月21日・全豪2回戦=大きなとこは好きよ


予選勝者で女子世界ランキング127位の大坂なおみ(18)が、4大大会初出場ながら3回戦進出を決めた。同21位で第18シードのエリナ・スビトリナ(ウクライナ)に6-4、6-4で、1時間40分のストレート勝ち。3回戦では全豪に2度優勝している元世界女王、ビクトリア・アザレンカ(ベラルーシ)と対戦する。日本女子が4大大会初出場で3回戦に進んだのは、64年全米の小幡陽子以来52年ぶり史上2人目。

フェデラーやシャラポワらトップ選手だけが呼ばれる最も大きな記者会見場が、第2の舞台となった。やりとりは1回戦終了後と同様、主に英語。「大きなとこは好きよ。次の試合も、一番大きなコートでやりたい」。


女子シングルス2回戦でリターンする大坂(AP)=2016年1月21日
女子シングルス2回戦でリターンする大坂(AP)=2016年1月21日

2016年8月29日・全米1回戦=セリーナみたいだったかな


女子で世界81位の大坂なおみ(18)が、初出場でシード選手を破る金星を挙げた。同30位で第28シードのココ・バンダウェイ(米国)に6-7、6-3、6-4の逆転勝ち。最終セットでは女子ツアー歴代8位、日本女子最速に相当する時速201・1キロの爆弾サーブで窮地を脱した。

爆弾サーブの時速201・1㌔は女子ツアー歴代8位に相当する速度。女子では驚異の200㌔超えにも、当の本人は「あら、そうなの。セリーナ(ウィリアムズ)みたいだったかな」と、あっけらかんと世界女王に例えた。


女子シングルス1回戦で強烈なサーブを放つ大坂(USA TODAY)=2016年8月29日
女子シングルス1回戦で強烈なサーブを放つ大坂(USA TODAY)=2016年8月29日


2016年8月31日・全米2回戦=カモーン


世界81位の大坂なおみ(18=日本)が、大会初出場で3回戦進出を決めた。同103位で予選勝者の段瑩瑩(中国)を6-4、7-6のストレートで破り、次戦では同9位のキーズ(米国)に挑む。大坂は今季出場した4大大会、3大会すべてで3回戦以上に進出。日本女子としては95年の伊達公子、沢松奈生子以来、21年ぶりの記録となった。

大坂がほえにほえた !  自分を鼓舞するように、拳を突き上げ、何度も「カモーン ! 」の言葉が飛び出した。180センチの大柄な体だが、めったに感情を爆発させない。しかし、この日は「勝ったら姉と母が来る。負けたくなかった」と勝利への貪欲さを見せた。



女子シングルス2回戦でから段瑩瑩からポイントを奪い、雄たけびを上げる大坂(撮影・菅敏)=2016年8月31日
女子シングルス2回戦でから段瑩瑩からポイントを奪い、雄たけびを上げる大坂(撮影・菅敏)=2016年8月31日
女子シングルス2回戦でから段瑩瑩からポイントを奪い、雄たけびを上げる大坂(撮影・菅敏)=2016年8月31日
女子シングルス2回戦でから段瑩瑩からポイントを奪い、雄たけびを上げる大坂(撮影・菅敏)=2016年8月31日
女子シングルス2回戦でポイントを奪われ、垂れ下がった髪を見つめる大坂(撮影・菅敏)=2016年8月31日
女子シングルス2回戦でポイントを奪われ、垂れ下がった髪を見つめる大坂(撮影・菅敏)=2016年8月31日

2016年9月21日・東レ・パンパシフィック・オープン=焼き肉食べたい

世界66位の大坂なおみ(18)が、焼き肉パワーで金星だ。14年全豪準優勝で同12位のチブルコバ(スロバキア)を6-2、6-1の63分で一蹴。1回戦に引き続き、武器のパワーサーブで7本のエースをたたき込み、チブルコバを圧倒した。12位は、大坂が勝った過去最高位の選手で、今大会レベルでの8強入りは初めてだった。

あまりの圧勝劇に、試合中に思ったのは「(勝ったら)焼き肉食べたい」。前日も焼き肉を食べ、パワーもりもりだった。


ファンとの写真でVサインを作る大坂(撮影・神戸崇利)=2016年9月21日
ファンとの写真でVサインを作る大坂(撮影・神戸崇利)=2016年9月21日

2017年7月5日・ウィンブルドン2回戦=新幹線だったわ

女子シングルス世界59位の大坂なおみ(19=日清食品)が、同23位で第22シードのストリコバ(チェコ)を6-1、0-6、6-4で破る金星を挙げ、初出場で3回戦進出。次戦で5度の優勝を誇るV・ウィリアムズ(米国)と対戦する。大坂は、これで4大大会全てで3回戦に進出。日本女子では7人目の選手となった。

「新幹線」の愛称をつけてもらった相手ストリコバに、その名の通り、高速ショットでお礼の乱打を見舞い、フルセットでの金星だ。「とてもうれしい」。久々に出た、たどたどしい日本語で満面の笑みを浮かべた。第1セットは1ゲームしか与えず、わずか27分で料理。「まさに新幹線だったわ」。


女子シングルス1回戦を突破した大坂(共同)2017年7月5日
女子シングルス1回戦を突破した大坂(共同)2017年7月5日

2017年8月29日・全米1回戦=ラケット投げるかな

世界45位の大坂なおみ(19=日清食品)が、前年覇者で同6位のアンゲリク・ケルバー(ドイツ)に6-3、6-1で快勝した。日本女子が4大大会で前年覇者に勝ったのは、73年全豪準々決勝で沢松和子が72年優勝のウエード(英国)に勝って以来2人目。68年のオープン化以降、日本女子が全米のセンターコートのシングルスで勝ったのは初めてだ。

初のトップ10撃破となった大坂は小さなガッツポーズ。「ラケット投げるかな、叫ぶかなって考えてたけど、こんな感じになっちゃった」と苦笑いした。「落ち着いて、今までのプレーをしようと言い聞かせた」。最後まで冷静で、集中力は途切れなかった。


女子シングルス1回戦で昨年覇者のケルバーに勝利した大坂(ロイター)2017年8月29日
女子シングルス1回戦で昨年覇者のケルバーに勝利した大坂(ロイター)2017年8月29日
テニスの全米オープン女子シングルス1回戦で、昨年の覇者アンゲリク・ケルバーを破り、声援に応える大坂(AP)2017年8月29日
テニスの全米オープン女子シングルス1回戦で、昨年の覇者アンゲリク・ケルバーを破り、声援に応える大坂(AP)2017年8月29日


2017年10月11日・香港オープン2回戦=ビーナスと対戦できて本当に名誉

世界64位の大坂なおみ(19=日清食品)が、4大大会7度の優勝を誇る同5位のビーナス・ウィリアムズ(米国)を7-5、6-2で破り、ベスト8に進出した。日本女子がトップ5から金星を挙げるのは、06年全仏1回戦で森上亜希子が当時3位のペトロワ(ロシア)を破って以来、11年ぶりだった。

「和製ウィリアムズ」が本家を打ち砕いた。大坂が憧れのウィリアムズ姉妹から、ついに初めての勝ち星を挙げた。「ビーナスと対戦できて本当に名誉なこと。いいプレーができた」。パワーでのガチンコ対決でビーナスを打ち負かした。


シングルス2回戦 ビーナス・ウィリアムズに勝利した大坂(ゲッティ=共同)2017年10月11日
シングルス2回戦 ビーナス・ウィリアムズに勝利した大坂(ゲッティ=共同)2017年10月11日


2018年1月22日・全豪4回戦=160キロショットはいらない

世界72位の大坂なおみ(20=日清食品)が力尽きた。同1位のハレプ(ルーマニア)と対戦し、3-6、2-6のストレート負け。大会の日本女子として00年杉山愛以来、そして自身初の4大大会8強入りは持ち越しとなった。

8強こそ逃したが進化は見せた。オフシーズンに7キロの減量に成功。体が動きやすくなった分、コート上を走れ、粘ることが可能になった。リスクしかない攻撃一辺倒に、安定性が加わり、凡ミスが減った。「今は安定性を出すことが大事。時速160キロのショットはいらない」。その新たなスタイルで16強入りを遂げた。


険しい表情を見せる大坂なおみ(ロイター)=2018年1月22日
険しい表情を見せる大坂なおみ(ロイター)=2018年1月22日



2018年3月7日・BNPパリバオープン1回戦=対戦したい相手が3人

世界44位の大坂なおみ(20=日清食品)が元女王を撃破した。初対戦となった同41位のマリア・シャラポワ(ロシア)に、1時間35分の6-4、6-4でストレート勝ち。日本女子がシャラポワに勝ったのは、10年東レ・パンパシフィック1回戦で伊達公子が破って以来8年ぶり3度目。

「対戦したい相手が3人いて、それが、ウィリアムズ姉妹にシャラポワだった」。今日の一戦で3人のうちの2人、姉ビーナス、シャラポワとの対戦は実現した。その2人から勝ち星も挙げた。「残りは1人。セリーナと対戦しなきゃ」。


リターンを放つ大坂(USA TODAY)2018年3月7日
リターンを放つ大坂(USA TODAY)2018年3月7日



2018年3月9日・BNPパリバオープン2回戦=先は見ない

世界44位の大坂なおみ(20=日清食品)が、元女王に続き、元世界2位も撃破した。12年ウィンブルドン準優勝で同32位のラドワンスカ(ポーランド)に6-3、6-2の1時間31分でストレート勝ち。1回戦のシャラポワ(ロシア)戦に続く金星を挙げた。

快勝だった。相手は6年前にテニスの聖地で決勝にまで進んだ名うてのカウンター・パンチャーだ。緩い球と相手のスピードを利用する多様な球種が武器だが、大坂はパワーで完全にねじ伏せた。「先は見ない。自分だけに集中する」。


リターンを放つ大坂(USA TODAY)=2018年3月9日
リターンを放つ大坂(USA TODAY)=2018年3月9日



2018年3月13日・BNPパリバオープン準々決勝=圭に続きたい

世界44位の大坂なおみ(20=日清食品)が金星で4強入りだ。16年全米準優勝で同5位のカロリナ・プリスコバ(チェコ)に6-2、6-3のストレート勝ち。トップ5から2度目の金星を挙げ、準決勝では同1位のハレプ(ルーマニア)と対戦する。大会は4大大会に次ぐクラス。09年に女子テニスツアーが現行のクラス分けになって以来、日本女子がこのクラスで4強に入るのは初めて。

大坂が世界5位を力でねじ伏せた。16年に全米準優勝、昨年世界1位になったKa・プリスコバに完全に打ち勝った。「ここまで来られてハッピー ! 」。「圭に続きたい」とツアー初優勝で、錦織のように日本女子のヒロインになることを誓った。


女子シングルス準決勝で、ポイントを奪いガッツポーズする大坂(共同)2018年3月13日
女子シングルス準決勝で、ポイントを奪いガッツポーズする大坂(共同)2018年3月13日



2018年3月16日・BNPパリバオープン準決勝=とてもハッピー

 世界44位の大坂なおみ(20=日清食品)が世界1位を破る快挙で、ツアー初優勝に王手をかけた。シモナ・ハレプ(ルーマニア)に6-3、6-0。日本女子が世界1位から勝利を挙げたのは、96年に伊達公子が国別対抗戦フェド杯でグラフ(ドイツ)に勝つなどして以来、22年ぶり史上2人目で3度目。

大坂がわずか64分で世界1位を圧倒だ。圧巻は第2セットの完封で、日ごろはクールな20歳も勝利の瞬間、思わず左手をぐっと握りしめた。「とてもハッピー !  できるだけ多く返球しようと頑張った」。完全にパワーでハレプを粉砕した。


リターンを放つ大坂(USA TODAY)=2018年3月16日
リターンを放つ大坂(USA TODAY)=2018年3月16日

2018年3月18日・BNPパリバオープン決勝=過去最悪のスピーチ

世界44位の大坂なおみ(20=日清食品)が、日本女子として初めて4大大会に次ぐ大会を制する快挙だ。同19位のダリア・カサキナ(20=ロシア)を6-3、6-2のストレートで破り、自身初のツアー優勝を“準4大大会”の快挙で飾った。日本女子がシングルスでツアー優勝するのは、15年10月にルクセンブルクオープンを制した土居美咲以来通算11人目。19日発表の最新世界ランキングで自己最高の22位にまで上昇した。

。シャラポワにも、世界1位にも、決勝もすべてストレート勝ち。怖いものなしの10日間だ。優勝スピーチでもなおみワールドが全開。「ハロー ! 、わたしはなおみ…」と、自己紹介で始まる異例のあいさつで、何度も「何か忘れてないかな」と自問自答。落ちは「これじゃ、過去最悪のスピーチね」と苦笑いした。

BNPパリバ・オープン女子シングルスで優勝した大坂は笑顔で手を握る(AP)=2018年3月18日
BNPパリバ・オープン女子シングルスで優勝した大坂は笑顔で手を握る(AP)=2018年3月18日


2018年3月21日・マイアミOP1回戦=自分の存在を認めさせたかった

 世界22位の大坂なおみ(20=日清食品)が、シングルスで4大大会通算23勝、ツアー通算72勝を誇る元世界女王セリーナ・ウィリアムズ(36=米国)を日本女子で初めて下した。産休から復帰2大会目の相手に6-3、6-2のストレート勝ち。これまで5人が9度対戦しセットさえ奪えなかった強敵から金星を挙げた。

テニスを始めた時に憧れた3選手が、セリーナとビーナスのウィリアムズ姉妹とシャラポワだった。これでその3選手を丸のみ。先週は現在世界1位のハレプ(ルーマニア)も下した。ビッグネームを連破しながら目下8連勝と、誰も大坂を止められない。「自分の存在を認めさせたかった」。セリーナに存在を認識させただけでなく、和製セリーナとして、“後継者”にも名乗りを上げた。


S・ウィリアムズ(左)を破り、試合後に握手を交わす大坂(AP)2018年3月21日
S・ウィリアムズ(左)を破り、試合後に握手を交わす大坂(AP)2018年3月21日

 


2018年7月3日・ウィンブルドン1回戦=ワールドカップはクール

世界18位の大坂なおみ(20=日清食品)が、サッカーワールドカップ(W杯)日本代表の奮闘に感銘を受け、初戦の難敵を突破した。多彩なショットでかき乱すプレーで有名な同61位のニクレスク(ルーマニア)に6-4、6-1で快勝。試合後は、日本代表のユニホームを着て記者会見に臨んだ。

 上機嫌で試合後の会見に現れた大坂が着ていたのは、“サムライブルー”W杯日本代表のユニホームだった。「(ベルギー戦に)感銘を受けた。日本が負けた後に、自分は負けたくなかった」と、サムライ魂を注入。「W杯はクール ! 」と、すっかりサッカーのとりこになった。


サッカー日本代表のユニホームを着て会見に臨む大坂(ウィンブルドンの公式サイトより)=2018年7月3日 外部提供 WINBLEDON.COMから複写
サッカー日本代表のユニホームを着て会見に臨む大坂(ウィンブルドンの公式サイトより)=2018年7月3日 外部提供 WINBLEDON.COMから複写

 

2018年7月5日・ウィンブルドン2回戦=おなかが減った

世界18位の大坂なおみ(20=日清食品)が2年連続の3回戦進出だ。同122位のボールター(英国)に6-3、6-4のストレート勝ち。3回戦では同10位のケルバー(ドイツ)と対戦する。大坂は4大大会18勝目で、奈良くるみと並んで日本女子現役最多となった。

3回戦進出に気持ちがのりのりなのか、今大会初めて日本語で会見に応えた。相手のことを聞かれると、大坂は前回の対戦に比べて「何か、少しいいと思った」と日本語で返答。2週前よりてこずったが、最後は「(頑張って)おなかが減った」と実力差は歴然だった。

女子シングルスで3回戦進出を決めボールター(右)と握手をする大坂(ロイター)2018年7月5日
女子シングルスで3回戦進出を決めボールター(右)と握手をする大坂(ロイター)2018年7月5日

2018年9月1日・全米3回戦=まだまだ行けるわよ

世界19位の大坂なおみ(20=日清食品)が、自身初の全米16強入りを完封試合で成し遂げた。同33位のサスノビッチ(ベラルーシ)に6-0、6-0の50分で完勝。ツアーでは自身初の完封で、2回戦の第1セット2オールから22ゲーム連取の快進撃だ。全米16強入りは、日本女子として04年杉山愛、浅越しのぶ以来14年ぶり。

この勝利で区切りのハードコート50勝目。今大会で、今年の獲得賞金も200万ドル(約2億2000万円)を突破し、「まだまだ行けるわよ」。昨年7月、練習を共にしたストリコバ(チェコ)に“新幹線”と愛称をつけられた大坂は、ノンストップ街道をまっしぐらだ。

女子シングルス3回戦を突破、全米で初の16強入りを果たし、インタビューでのけぞる大坂(共同)2018年9月1日
女子シングルス3回戦を突破、全米で初の16強入りを果たし、インタビューでのけぞる大坂(共同)2018年9月1日

 

2018年9月3日・全米4回戦=足が折れても戦い抜く


世界ランク19位の大坂なおみ(20=日清食品)が同20位のアリーナ・サバレンカ(ベラルーシ)にフルセット勝ち。錦織圭(28=日清食品)とともに自身初の4大大会涙の8強入りを決めた。複数の日本選手が4大大会で同時に8強以上に進出するのは、95年ウィンブルドンの松岡修造、伊達公子以来、史上3度目の快挙となった。

大坂は「ケイと一緒に歴史をつくった。最高にクール」と涙を笑顔に変えた。セットを分け合った最終セット。先にリードされたが、すぐに追いつき4オールまでもつれた。「足が折れても戦い抜く。負けたら自分を許せない」。闘争心で、最後は相手のダブルフォールトを導いた。


女子シングルス4回戦でサバレンカを破り8強入りし、涙ぐむ大坂(共同)2018年9月3日
女子シングルス4回戦でサバレンカを破り8強入りし、涙ぐむ大坂(共同)2018年9月3日

2018年9月5日・全米準決勝=すごく頑張りました

世界19位の大坂なおみ(20=日清食品)が日本女子で初めて4大大会シングルス決勝に進む快挙を遂げた。前年準優勝で同14位のマディソン・キーズ(米国)を6-2、6-4で破った。試合後のインタビューでは「今日の試合、すごく頑張りました。次の試合も頑張ります。おやすみ」と笑顔をあふれさせた。

日本女子の歴史が変わった瞬間だった。「現実とは思えない。すごく疲れたけど、頑張ったよ」。今大会、セリーナの全試合を見ている。「子どものころから、4大大会の決勝でセリーナと対戦するのを夢見ていた」。勝てるかという質問には「ノー」と即答。しかし、優勝スピーチについては「練習しなくちゃ」。日本人が誰も到達していない世界の頂点に向け、伝説の女王に挑む。


キーズとの女子シングルス準決勝でリターンする大坂(撮影・菅敏)2018年9月6日
キーズとの女子シングルス準決勝でリターンする大坂(撮影・菅敏)2018年9月6日
キーズとの女子シングルス準決勝でポイントを奪い雄たけびを上げる大坂(撮影・菅敏)2018年9月6日
キーズとの女子シングルス準決勝でポイントを奪い雄たけびを上げる大坂(撮影・菅敏)2018年9月6日
女子シングルス準決勝でキーズに勝利し、笑顔で両手を上げる大坂(撮影・菅敏)2018年9月6日
女子シングルス準決勝でキーズに勝利し、笑顔で両手を上げる大坂(撮影・菅敏)2018年9月6日