フィギュアスケートの4大陸選手権で初優勝した紀平梨花(16=関大KFSC)が早くも3月の世界選手権(さいたま)に照準を合わせた。12日、大会が行われた米国から成田空港に凱旋(がいせん)した。同選手権は左手薬指の亜脱臼で演技の難度を落としたが、次戦のチャレンジ・カップ(21日開幕、オランダ)では、フリーで2本のトリプルアクセル(3回転半)を跳ぶ本来の構成に戻し、初出場初優勝を目指す世界選手権への準備を整える。

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初出場で挑む世界選手権について問われた紀平は堂々と宣言した。「世界選手権では初めての出場ですけど、ショートとフリーでは完璧な演技でノーミスでそろえたい思いが強い。ノーミスでそろえて自己ベストを更新できるように頑張りたいです」。4大陸選手権を制した女王らしく、強気な発言だった。

シニアデビューした今季は、昨年12月のグランプリ(GP)ファイナル(カナダ)や4大陸選手権など国際大会は5戦全勝。世界選手権では日本勢初となる初出場初優勝へ周囲からの期待は大きい。それを本人も自覚しているかのように、優勝に近づける自己ベストを誓った。

もちろん今のままでは優勝できるとは思っていない。今の課題は集中力。逆転優勝した4大陸選手権を振り返って「ショートよりもフリーが集中できた。その集中をショートから出せるようにしたい。ショートもフリーもミスがないようにしたい」と話した。

その課題を克服するためにも今月行われるチャレンジ・カップへの出場を見据えた。4大陸選手権の練習中に負傷した左手薬指は今後検査する予定だが、演技については「今のところは変更はありません。トリプルアクセルはフリーで2本いきたいと思います」とためらうことなく言い切った。これまでの演技構成に戻し、世界選手権に向けて自信を深める。【佐々木隆史】