昨年11月の右足首負傷からの復帰戦だった冬季オリンピック(五輪)2連覇の羽生結弦(24=ANA)がSP(ショートプログラム)3位で迎えたフリー2位の206・10点をマークし、合計300・97点で銀メダルを獲得した。SP1位のネーサン・チェン(19=米国)がフリーも1位となり、現行ルールで世界最高の合計323・42点で2連覇した。

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今日はチェン選手がすごかった。その一言に尽きる。羽生選手は間違いなく勝ったと思わせるような素晴らしい出来だった。SPでミスしたことで目の色が変わった部分があったと思う。長期ブランク明けのぶっつけ本番で勝利する経験は平昌(ピョンチャン)五輪であるが、どこかフワッとしている気持ちがあったように感じる。ショート後にはスイッチが入り、練習で苦戦していた4回転ループを本番で成功させるのはさすがだ。

チェン選手はとにかく落ち着いていた。フリーは滑走前に多くのプレゼントが投げ込まれ、リンクの小さなスペースで体を動かしていた。冷静な対処が光った。この舞台でSP、フリーともミスなくそろえるのは見事だった。宇野選手は階段をあと1段上げれば…、というところで踏み外したような気持ちだと思う。勝ちを意識したからこそ、余計に悔しさが募るはずだ。晴らすタイミングはくるので、その時へ準備をしていくことが大切になる。(10年バンクーバー五輪代表、11年世界選手権銀メダリスト小塚崇彦)